夢から覚めても 「う…ん…」 カーテンの隙間から差し込む僅かな光で、は目が覚めた。 光と言ってもまだ朝日は完全に昇りきっておらず、室内はやや薄暗い。 「…よかった…夢じゃなくて」 自分の身体を抱きしめて眠っている周助の姿を目で捕らえて、は安堵の息をついた。 周助の腕枕と、腰を抱き寄せてくれている腕の温かさが、夢ではないと告げている。 眠る前は深く強く周助を感じて。 夢の中に落ちても、周助と一緒にいて。 夢から覚めて、隣に周助がいなかったら…。 昨夜周助に抱かれたのが夢だったら…。 それが恐くて。 昨日の事が全て夢ではなくてよかった。 そう思っているのに、まだ不安なのはどうしてだろう。 周助に抱かれて気を失い、そのまま眠りに落ちる。そんな事はよくあった。 それなのに、今はなぜか不安でいっぱいで。 自分でもおかしいと感じているけれど。 周助の腕に自らの頭を預けた状態で、は彼の寝顔を見つめていた。 全てを見すかす色素の薄い瞳は閉じられ、口元から微かな息遣いが聞こえる。 不意に周助の瞳がゆっくりと開き、を捕らえた。 「何が夢じゃないの?」 隣で眠っているとばかり思っていた周助は起きていたらしく、呟きは彼の耳に届いていたらしい。 まさか呟きを聞かれていたとは思わなくて、は目を瞠った。 「起きてたの?」 「うん、が僕の腕の中で身じろぎした時から。ねぇ、。何が夢じゃなくてよかったのか、教えてくれるよね?」 いつもの優しい表情ではなく、真剣な表情で訊いてくる周助には一瞬迷う仕種を見せた。 けれど、周助の瞳から逃れるように瞳を閉じて、小さな声で話し出した。 「…夢の中で周助と一緒にいたの。すごく幸せで…でも、夢から覚めて周助が隣にいなかったら…。すごく不安で、恐くて。周助と結婚したのが私の都合のいい夢だったのかも…って…」 「だから隣に僕がいて安心した?」 「…うん。…呆れた、よね…」 は閉じていた瞳を開いて、周助の様子を窺うように言った。 すると周助は顔に優しい笑みを浮かべた。 「そんな訳ないだろ。不安にさせている僕に原因があるんだから」 「違…っ。周助は悪くない!私がいけないの。周助を信じているのに、信じていなくて…。私、周助より5歳も年上だし、一緒にいていいのかって…本当に私でいいのって……ごめんね、言ってること滅茶苦茶……」 の黒い瞳にうっすらと涙が浮かんでいた。 周助はの目元に唇を寄せ、涙を舌で拭った。 そして、優しく囁く。 甘く、欲望を含んだ声で。 「夢じゃないことを教えてあげるよ。の不安が消えるまで、何度でも」 「しゅ――」 周助はを腕の中へ引き寄せ、貪るように口付ける。 の不安が消えるように。 結婚したことも、今も、これは夢じゃないとわかるように。 「ふっ…っんん…っ」 周助は口腔内に舌を侵入させ、の舌に深く自分のそれを絡める。 ちゅっと音を立て周助が唇を離すと、二人の間に銀の糸が伸びた。 頭の芯を溶かされる濃厚なキスにくらくらして、は何も考えられなくなってしまう。 周助はを組み敷いた。 二人は何も身に纏っていない。だから、体にダイレクトに相手の体温を感じる。 がそれに戸惑う間もなく、周助はの首や鎖骨に唇を落としては強く吸い上げた。 その度に白い肌に赤い花が――周助のものだというシルシが咲いていく。 その合間に周助の右手はの下肢へ伸ばされる。 先程からの刺激によってそこはしっとりと濡れていて、周助の指を難無く受け入れた。 周助は花弁に入れた指での感じるところばかりを責める。 指をつけ根まで挿入し、掻き回しては内壁を擦り上げる。 その一方で、周助は逆の手での胸を愛撫する。 焦らすようにゆっくり揉みあげていくと、乳房の頂きが快感を主張するように堅く尖りはじめる。堅く尖ったそれを指先で摘み捏ね上げて、口に含み舌先で舐める。 「あっん…はあっ…んくうっ…」 乳房と秘部を同時に攻められて、は耐えきれずに嬌声を上げる。 「はっ…しゅう…んああっ…しゅすけぇ…やっ…あっ…」 「、もっと声を聞かせて?」 周助は胸への愛撫をやめて、両手での白い脚を割り開き、蜜の溢れる秘部に顔を埋めた。 周助は花弁から溢れ出る愛液を丹念に舌で舐めとる。 生温い舌が蠢く感触に、は身体をビクビク震わせる。 「の蜜、甘くてオイシイ。もっと欲しいな」 周助は嬉しそうに言うと、花弁の窪みへ舌を差し入れた。 「あんっ…やああ…だ、めぇ……ああんっ」 の呼吸が荒くなり、限界が近いことを知らせる。 周助は花弁を刺激しながら、叢に隠された花芯に指を這わせ、強く擦り上げた。 敏感な部分を攻められ限界に追い込まれていたは、身体を弓なりに反らせ頂点へ達した。 の荒い呼吸が明るくなりつつある寝室に響く。 けれど、周助の愛撫で思考が溶かされてしまったには、今の時刻が早朝であることなど頭には欠片も残っていなかった。 は周助の首に腕を回し抱きついて、キスを仕掛けた。 「周助…」 濡れた瞳で見上げてくるの唇に周助は軽くキスをする。 誘うように、待ちきれないというように、見つめてくるが愛しい。 「、愛してる」 その言葉を合図に周助は熱くなった楔をの中へ挿入する。 艶かしい卑猥な音とともに、の中は周助の楔を嬉しそうに飲み込んでいく。 「あっ…はあぁ…んあぁぁ…」 「、もっともっと僕を感じて」 周助は腰を打ちつける速度を速めた。 脚を抱えられ、より深く入り込むように激しく強く貫かれ、揺すり上げられ、は周助の肩に腕を回してきつく抱きついた。 「ひああっ…んくっ…あっあ…しゅうすけぇ…っ」 「いいよ、ッ」 楔を絡めとるように締め付けてくるに頬を緩める。 が感じてくれているのが、喜んでくれているのが嬉しくてならない。 「はぁ…んっ…しゅう…しゅうすけっ…んはぁ…ッ」 がもっと欲しいと望むように喘ぐ。 「…っ…ッ、もっと僕を呼んで…っ」 「んっ…はぁンッ…しゅうすけっ…しゅ…すけぇ」 は周助の望みに応えるように、きつく閉じた瞳から涙を零しながら掠れた声で名を呼ぶ。 「しゅうすけ…っ…しゅ…けっ、お…ねがっ…離さな…で…っ」 の声に周助は思わず腰の動きを止め、を見下ろした。 「…」 不意に動くのをやめた周助をは不安そうな瞳で見つめた。 「しゅ、すけ?」 「絶対に離さない。何があっても離さない。は僕のものだ。誰にも渡さない」 周助は再び律動を始めた。 先程よりも強く激しく、抉るように何度も何度もを突き上げる。 周助はの最奥に楔を突き立て、絶頂へ導く。 高い声を上げての身体が仰け反った。 「やっあ…もっ…いッちゃ…ひぁぁっ…」 「っ、ッ、いっていいよ…ッ」 周助が一際強く腰を突き上げるとは悲鳴を上げて昇りつめた。 直後、周助はのあとを追うように彼女の中に熱を放った。 周助は荒い息を吐きながら、意識を手放したを抱きしめる。 「僕が愛しているのはだけだよ。君が夢から覚めても、ずっと君の傍にいるから」 耳元で甘く囁き、涙の跡が残るの頬にキスを落とした。 END BACK |