Speaking of summer...? 7月中旬。夏休みまであと5日となった、蒸し暑い夜。 仕事を終えて帰宅したを待っていたのは、彼女の恋人だった。 「お帰り、。遅かったね」 玄関の鍵を開けて扉を開いた直後、耳に入った聞き慣れた声には驚いた。 「しゅ、周助!?もうっ、驚かさないでよ」 は自分より20センチほど高い位置にある恋人の顔を睨んで言った。けれど、周助は特に悪びれる様子がない。 「だってさ、待ちくたびれちゃったんだよ。があまりに遅いから」 そう言われて、は言葉に詰まった。確かに今の時刻は夜8時をとっくに過ぎて、まもなく9時になろうとしている。 けれど、が仕事で帰宅が遅いのはままあることで、特にここ最近は忙しく、ろくに睡眠も取れていない日が続いていた。 そして、ふと疑問が浮かんだ。 今日は周助と逢う約束はしていない。ゆえに、そう言われる筋合いはないことに気がついた。 周助が学校帰りで制服姿だとしても、だ。 「私は周助が来るって聞いてないんだけど?」 「に逢いたくなったから来たんだよ」 にっこりと微笑んで言われてしまっては、怒るに怒れない。 でもここで「私も逢いたかった」と言ってしまうと、なんだか負けたような気がして悔しい。 かと言って瞬時に周助を見返す言葉は見つからない。 「そう」 一言だけ答えると、周助は顔に意味ありげな微笑みを浮かべ、楽し気な声で言う。 「僕の腕の中ではあんなに素直なのに」 「…っ…周助のバカッ」 は恥ずかしさに顔はもちろん、耳や首まで赤く染めて周助を怒鳴る。けれど、そんな顔で言っても効果がある訳がなく、より周助のペースに巻き込まれてしまう。 「クスッ、そういうところも可愛いよ、」 「周助のそういうところ、私は嫌い!」 「フフッ、ホントは好きなんでしょ?素直じゃないね、僕の恋人は」 が口で周助に勝てるはずもなく、いつものように先に折れたのはだ。このまま会話を続けるのは不毛だからである。 「勝手に言ってて。…で、逢いたくなってきてくれただけなの?」 「ああ、忘れるところだったよ。あのさ、8月2日から3日で旅行に行こうね」 「旅行?」 「うん。たまには二人きりで泊まりもいいでしょ」 「周助、私まだ返事をしてないんだけど…」 「行きたくないの?行き先は葉山だよ」 「えっ、本当?」 周助の口から行き先を聴かされ、の黒曜の瞳が子供のように輝く。 周助が言った場所は、夏の風物詩の花火が綺麗に見えることで有名な場所なのだ。 は意外に子供っぽく、花火やお祭りが好きだったりする。 どんなに些細な事でも周助は覚えてくれていて、さり気なく喜ばせてくれる。 はそれが嬉しくて、迷いなく頷いた。 「行きたい!…あ、でも部活は平気なの?」 周助の通う青春学園は関東、いや全国でもテニスの強豪校として名高い。そして周助はそこのレギュラーなのだ。夏休みも部活の練習や合宿があるのは間違いない。はそれを危惧して周助に訊いた。 「休みにするから大丈夫」 「休みにするからって…どういうこと?」 「そのままの意味だよ」 ごめんね、手塚くん…。 は周助から被害を被るだろう手塚の身を案じて、心の中で謝罪した。 数週間が過ぎ、約束の日になった。 青春台駅前で待ち合わせ、電車に揺られること数時間。ようやく二人は目的地に着いた。 昼近くに青春台を出発したこともあって、着いた頃には日が暮れていた。 「、ここだよ。僕たちが泊まるところ」 「えっ?ここ?別荘みたいだけど?」 周助に連れてこられたのは、海に面した綺麗な別荘だった。旅館かホテルに泊まると思っていたは、驚きに黒い瞳を瞠る。 の頭にひとつの予想が浮かび、彼女はそれを言葉にした。 「もしかして不二家の別荘?」 周助の家がかなりのお金持ちであることを思い出したのだ。 けれど、周助の口からでたのはの予想と違っていた。 「いや、ここは父さんの知り合いの別荘なんだ。父さんのつてで借してもらったんだよ」 周助は事も無げに言ったが、普通の暮らしをしているにとっては多少なりとも衝撃的な事だった。しかも、ここはということは、ここではないが不二家所有の別荘があるということも考えられる。 がぼんやりそんなことを考えていると、周助に手を引かれた。 「どうしたの?早くおいでよ」 「あ、うん」 別荘の冷蔵庫には二人で二日分にしては多い程の食材がそろっていた。どうやらここの管理を任されている管理人が用意してくれたらしい。ゆえに買い出しに行く必要はなかった。 夕食はがメインで料理し、周助も手伝ってくれた。二人で協力して作ったそれを、ダイニングテーブルでゆっくり食べた。 食後の紅茶を楽しんでいると、外から花火が上がる音が聞こえた。 「花火が始まったみたい」 は飲みかけのティーカップをソーサーに戻し、いそいそと立ち上がる。 「そうだね」 「周助、早く早く」 顔にワクワクと書いて手招きするに周助は微笑を浮かべ、彼女の後ろに続いた。 別荘から出た二人は、少し歩いて砂浜へ向かう。 大きな岩の前の砂浜に並んで座って、夜空を見上げた。まだ始まったばかりなので、大きな音と共に色とりどりの花火が次々に上がっていく。 海岸には二人以外の人影がなく、貸し切りの花火大会のようだ。どうして二人以外に人がいないかというと、ここ一帯がプライベートビーチだからだ。 「わあ、やっぱりきれいね」 は空に咲く赤や青や緑、紫など様々な色で打ち上げられていく花火を見、感嘆の声を上げた。 こうしてゆっくり花火を見るのは数年振りになる。 は花火に心を奪われ、食い入るように夜空を見上げている。 だから、気がつかなかった。 隣にいる周助の色素の薄い瞳に不穏な色が宿ったことに。 「」 周助は彼らしくなく少し乱暴にの肩を掴み、浜辺に華奢な体を押し倒した。 「いきなり何するの!」 「が花火ばかり見てるからだよ」 「花火を見に来たんだから、当たり前でしょ」 周助は呆れ交じりの怒り声に耳を貸さず、の首に唇を寄せ強く吸い上げた。 チクッとする痛みとともに、白く柔らかな肌に赤い花が咲く。 「ちょ、ちょっと、周助」 「ねえ、。しよう」 「な…っ!?」 が驚くのはもっともだ。 ここは屋外。しかも砂浜の上。プライベートビーチと言えど、地元の人が通らないとも限らない。そんな場所でしようと言う恋人にが反対の意を表すのも当然のことと言えた。 周助とするのが嫌な訳ではない。 周助に求められることは嬉しい。 けれど、すぐに頷けない。 「屋外なのわかってるの?」 「もちろん」 「誰か来るかもしれないのよ?」 「沿道からは見えないから平気だよ」 周助はと会話を続けながら、彼女の着ているアイスブルーのワンピースの前ボタンをはずしていく。 は抵抗したくても、両手は頭の上で縫い止められていて身動きできない。 「砂だらけになっちゃう!」 無駄なことと理解をしつつも、は悪あがきをする。 心が周助を求めても、理性がそれを止めているにすぎないけれど。 だがそんな努力もこの恋人の前では無意味だった。 「大丈夫だよ。その時は僕が責任もってきれいにしてあげるから」 「そ、そういう問題じゃ……っん」 ない、と続けようとしたの唇は周助のそれによって塞がれた。 長いキスの息苦しさに酸素を求めて、の唇が僅かに開く。周助はそれを見逃さず、舌を忍ばせゆっくり歯列をなぞってから、の舌を器用に捕まえて自分のそれを絡ませた。 激しく、強く、息もつけない程、舌を絡ませる深いキスを繰り返す。 「っ……んうっ…んんんッ…」 しばらくして周助が名残惜し気にから唇を離すと、飲み込みきれなかった透明な液が彼女の顎を伝い落ちた。 周助は腕の戒めを解き、の黒い瞳を覗き込んで問いかける。 「僕とするのはイヤ?」 「…ずるい、周助…そんな言い方…」 「」 甘く響く声にの熱が上昇する。 は周助の背中に腕を回して抱きついた。 「……イヤな訳ない…でしょ…」 がそう言い終えると、周助は白い肌に手を這わせた。 の胸に手を這わせ、ピンク色のブラジャーを取り去る。そこから姿をあらわした乳房を下から持ち上げるようにゆっくりと揉むと、胸の頂きが快楽を主張してピクンと立ち上がった。周助は堅く尖った蕾を口に含んで、軽く歯を立てた。 「んっ」 の体がビクンと跳ねる。 「って敏感だよね」 周助の言葉が恥ずかしくて、はキュッと唇を噛み締めて声を堪える。 だが、そんなの行動は更に周助を煽る材料としかならない。 「その表情、そそるよ」 周助はクスッと笑って、唇を徐々に降下させながらの秘部に手を伸ばし、パンティーを脱がせた。 露わになった秘部からは蜜が溢れだし、の太腿を伝うほど濡れそぼっている。 闇の中で蜜が妖しく光る様に、周助は生唾を飲み込んだ。 「いつもより濡れてるね」 わざと聞こえるように言って、周助はの花弁へ長い指を2本差し込んだ。 じゅぷ、ぐちゅぐちゅ…ちゅく…。 卑猥な音を立て、の中は周助の指を飲み込んでいく。 が最も感じる箇所で指をくいっと曲げて内壁を刺激すると、噛み締めていた唇が緩み嬌声が漏れた。その嬌声とともにの下肢がビクリと跳ねる。 「あぁん…んぅ…やっ…やあっ…ヤめ…っ」 「いいでしょ、。 それとも、もう限界?」 周助は指と言葉でを追い詰める。花弁に入れる指を2本から3本に増やし、指の付け根まで差し込んで、じっくり焦らす様にゆっくり中を掻き混ぜる。そして時折、の一番の性感帯を攻めた。 体を駆け抜ける快感にの細い肢体がビクビクと波打つ。 それを見て周助は意地悪そうな笑みを浮かべた。 「もういっちゃいそうだね。そろそろ僕が欲しいでしょ?」 「そ…な…こと…聞かな…で…っ」 「欲しくないの?」 「――っ」 「聞かせてよ。僕はが欲しい。は?」 は羞恥に瞳をぎゅっと瞑って、微かにコクンと頷いた。 周助は声にして言って欲しかったけれど、頷いてくれただけでも嬉しい。 「クスッ、はやっぱり可愛いね」 甘く囁くように言って、周助はの中から指を引き抜いた。 周助はジーパンのチャックを下し、熱くなった楔を取り出す。 白い脚を左右に大きく開かせ、指のかわりに熱くなった楔をの中へ挿入する。蜜で十分に潤ったそこは周助を奥へと誘っていく。 「…っんん…んあっ…あぁん」 腰を突き上げる度にの唇から甘い嬌声が漏れる。 「、気持ちいい?」 「んっ…しゅうすけぇ…っ」 瞳を潤ませて喘ぐに周助は満足そうに微笑む。 「もっと気持ちよくしてあげる」 周助はを貫きながら、叢に隠れた花芽を指で擦り上げた。 先程とは比べものにならない程の快感に、は周助の楔を締め付ける。 「はぁん…ふぅ…うっん…あぁっ…」 「…っ、の中、熱くて気持ちいいよ」 絡め取るように楔を締め付けてくるに周助は頬を緩ませ、深く突き上げていく。 「ッうんっ…んくっ…ふぁ…っあっあっ…しゅう…っ」 快楽に溺れるの耳に周助の声は届いていないのか、唇からは絶えず甘い吐息が漏れる。 「んあっ…しゅ…う……き。…しゅ、すけぇ…す、き…ぃ」 荒い息の中で途切れ途切れに、がうわ言のように繰り返す。 の言葉に周助は顔に満足気な笑みを浮かべた。 「僕も好きだよ…っ」 周助は熱く猛る楔を一度入口まで引き抜いてから、一気に強くを突き上げた。 「ひあぁぁっ……っ」 の身体がヒクリとしなる。 「、愛してる」 周助はに深く口付けて、最奥を突いた。 が高い悲鳴を上げて意識を手放すのと同時に、周助はの中に歓喜を注ぎ込んだ。 が意識を取り戻したのは、しばらく時間が経ってからだった。 の上半身には周助のシャツが着せられていて、身体は座っている周助に抱きしめられていた。 周助はの長い黒髪を梳きながら訊く。 「気がついた?」 「…うん」 頷いたは、耳に静かな波音だけが聞こえることにハッとした。 「花火終わっちゃった?」 「みたいだね」 「誰のせいだと思ってるのよ」 「僕のせい?」 「他に誰がいるのよ」 はキッと周助を睨んだ。 すると周助はにっこり微笑んでこう言った。 「じゃあ責任とってを喜ばせてあげないとね」 「…念のために聞くけど、何してくれるの?」 「ベッドの中でゆっくり教えてあげるよ」 周助はの返事を待たず彼女を軽々とお姫様抱っこし、その場から足取りも軽やかに立ち去った。 END ++ ---------------------------------- ++ 藤名 翠様主催の企画【Sweet summer time with S】に投稿したドリームです。 こちらは裏バージョンですが、表にも同企画に投稿したドリがあります。 BACK |