未遂ですがヒロインが襲われるのでご注意を。



 




 昼休み、私は校舎裏の林にいた。
「あなたとは付き合えません」
 目の前にいる男子生徒にはっきりと言った。
 こういうきつい言い方は苦手だけど、今月に入ってからこの人に告白されるのはもう三回目で、やんわりした言い方じゃ伝わってないみたいだったから。
 私には恋人がいる。それはほとんどの人が知っている。
 彼は優しくて、勉強もできて、テニスも上手くて、かっこよくて、笑顔も素敵。でも、それだけじゃないことを知っている。彼はとても情熱的で、独占欲がすごく強い。 
 私たちが付き合っているのは誰でも知っている。それをこの人も知っているはずなのに。それに、新入生歓迎会にはサッカー部の部長であるこの人がいたのは間違いなく、あのハプニングはこの人も見ていたはず。
 それなのに、この人は私がいくら言っても諦めてくれなくて、さっきから同じ言葉の繰り返しで、ちょっとうんざりし始めていた。
「どうしてダメなんだ。さんが好きなんだ。不二と別れてオレと付き合ってよ」
 自分の気持ちを私に押しつけないで欲しい。
 好意を持ってくれたのは嬉しいけど、応えられないのだからどうしようもない。
「私が好きなのは不二くんなの。あなたじゃないわ」
「こんなに言ってもダメなんだな」
 この言葉にようやく諦めてくれたと思った私は胸を撫で下ろした。
 けれど、それは甘かったとすぐに思い知らされた。
 強い力で目の前の人に引っ張られた。
「痛っ!」
「君がオレのものになれば、不二も別れるって言うだろ?」
「勝手なこと言わ――んんっ」
 顎を強引にとられてキスされた。唇を割って口腔内に舌が入ってくる。私が知っている唇や舌と全然違う。すごく気持ち悪くて、逃れようと懸命に足掻く。でも私の力は男の力に適わなくて、口の中を蹂躙された。
 男は片手で私の両手首をひとまとめにして木の幹に押し付け動きを封じて、私の制服のリボンを解いてブラウスのボタンを外し始めた。
 周くん以外の人に見せたことのない姿にされて、羞恥よりも恐怖に支配される。
「いやっ!放してっ!!」
「無駄だよ。この場所は人目につきにくい。誰も来ちゃくれねぇよ」
 男がニヤリと笑う。
 背筋がゾクリと粟立つ。
 男は私の胸元に唇を寄せて、私の肌を吸い上げた。
 恐怖と悪寒が背中を這い上がる。
 暴れてももがいても効果がなくて、泣きながら叫ぶしかできない。
「いやっ!触らないでッ!」
 ブラのホックが外されて、胸が外気に晒された。
「いやああああっ!」
 脳裏に微笑む周助の顔が浮かんだ。
「やだっ、周助っ!」
「いい加減諦め――ぐわぁ…!」
 何が起きたのかわからなかった。
!」
「…しゅ…うすけ?」
「うん、僕だよ。もう大丈夫だからね」
 突然現れた周助が男を殴り飛ばしたらしい。男が地面に倒れている。でも そんなことはどうでもいい。
 安堵と嬉しさから周助にギュッとしがみつく。
「こっ…こわかったッ…っく…ひっく」
「間に合ってよかった!」
 周助はぎゅっと抱きしめてくれた。
 すると怒鳴り声が聞こえた。
「不二、貴様…!何をする!?」
「何をする、だって?それは僕のセリフだよ。僕の恋人に手を出して、無傷で済むと思ってる?」
 いままで聞いたことのない冷たい声だった。
「殺すよ」
「――ッ!」
 見えなかったけど、走り去る足音が耳に届いた。
、怪我はない?」
 ゆるく首を横に振った。
 怪我はない。
 でも、あの男に触られたところがすごく気持ち悪い。
 唇と口の中に残る、嫌な感触。
「気持ち悪い」
 手の甲で乱暴に口を拭ったけど、気持ち悪い感触はなくならない。
「…周助、抱いて」
?」
 周助が戸惑うのは当然。
 学校で、しかも屋外。ここが人目につかない場所と言っても、絶対に見つからないなんて確証はない。
 でも、いますぐにこの感触を消して欲しい。
「あの男が触れたところすごく気持ち悪いの。お願い、周…ふっ…ンンッ」
 全部言い終わらないうちに唇が塞がれた。
 甘くて優しいキス。
 私が知ってる唇の感触。
「…ッ…っん……ッ…んんっ」
 いつしか彼の熱い舌が口の中に入ってきて、優しく舌を絡めとられた。
 離れた唇が銀糸を紡ぐ。
「っ、周…っ」
「ほかにどこを触られた?」
「こことここ…ここも…」
 男につけられた痕を指で差す。周助はその場所全部にキスをして、所有の印を刻み直した。
 周助の大きな手が私の胸を揉みながら蕾を指で摘む。
 片手がスカートの裾から入って脚をすべり、太腿を撫で上げる。
 下着の上から秘部を軽く刺激され、体がビクンと跳ねる。そのまま彼の手が下着の中へ入ったと思うと、下着を脱がされた。脚を滑り落ちた下着は足首で止まった。
 微かな水音がして、周助の指が秘部へ挿れられた。
「あっ…あんっ…しゅうっ」
 胸の蕾は周助の口にくわえられ舌で刺激され、秘部は周助の指で愛撫され、もう何も考えられなくなった。
…大好きだよ」
「んッ…わた…しもっ…あっんッ…」
 周助は足首で止まってる下着を脱がせて、私の片足を持ち上げて脚を開かせる。
 彼の指の動きが速くなった。
 私の感じる所を擦り上げて、中を掻き回す。
 秘部から溢れた蜜が太腿を伝うのがわかる。
「はあっ…っん…もっ…立ってられ…な…ッ」
 脚がガクガク震え出して、木の幹に背中を預けてようやく立っている私は、周助に必死にしがみついた。
 卑猥な水音がして、周助の指が秘部から引き抜かれた。
「…っあ…」
 思わず漏れた声に、周助はちょっと困ったように笑う。
「あげたいけどゴムを持ってないんだ。だから今は指と口で許してくれるかな」
「……しなくていい…周助が欲しい」
…」
「安全日だし、もしがあっても迷惑かけないから…」
 とんでもないことを言ってるのはわかってる。
 周助が避妊しないですることはないってこともわかってる。
「そんな風に欲しいなんて言われたら断れないじゃない」
「ご、ごめんなさい。でも……」
「そんな顔しないで、あげるから」
「周助…」
「でも、念のため外に出すからね」
 ふるふると頭を振って嫌と伝える。
 小さな声で中に出してと言うと周助は瞳を瞠って、一拍後溜息を吐き出した。
「……ひ、卑猥で呆れて嫌いになった?」
「卑猥なんて言葉、どこで覚えたのさ」
 周助は苦笑して、私の唇にキスをした。
「嫌いになんてならないよ。大胆過ぎて戸惑うけどね」
 なんて応えたらいいかわからない。
 周助がそう言うなら、いつもの私と違うんだと思う。
 けど、今はただただ周助が欲しい。
 周助に溶かされたい。 
「いいよ。の望みどおりにしてあげる。けど」
「けど?」
「もしもの時は言うって約束だよ」
「え、でも…」
「でもじゃなくて、うん、だろ」
「…うん」
 周助は私を片腕で支えながら器用に学ランの上着を脱いで、それを地面に落とした。
 その様子を見ていると体がフワッと浮いた。ゆっくりと学ランの上に寝かされる。
「立ったままの中に挿れるのは君が苦しいからね」
 周助が優しく笑う。
 優しさに心臓がトクンと跳ねた。
 周助に愛されてる。
 わがままを受け止めてくれて、今はこうして気遣ってくれる。
 嬉しくて、周助の背中に腕を回して抱きついた。
「……周助でいっぱいにして」
 周助のこと以外考えられないように、周助で満たして欲しい。
 もっと周助に愛して欲しい。
「クスッ。そんなこと言われたら、手加減できないよ?」
 頷くと、周助はズボンのチャック下ろして楔を出し、覆いかぶさってきた。
 ぐちゅぐちゅと音を立てて秘部に熱い楔が入ってくる。
 周助に愛撫された私の中は、すぐに彼を根元まで飲み込んだ。
「周助の、いつもよりすごく熱い」
「ゴムをつけてないからかもね。 の中も熱くて我慢できないよ」
 の望みどおり、僕でいっぱいにしてあげる。
 耳元で熱く囁かれた瞬間、周助がゆっくり動き始めた。
「ああっ…ッア…はぁン…ッ」
 抉るように突き上げられて、呼吸が上がる。
 両足を抱え上げられて周助の肩に担がれ、揺さぶるようにして突き上げられる。
 熱くてどうにかなってしまいそう。
 思考が蕩けて、頭が周助でいっぱいになる。
「っ…ああ…ッ……あふっ…んっ」
「愛してる」
「んっ、あああッ…や、あっ、あっ、しゅ…すけぇっ」
、愛してる」
 耳元で何度も囁かれる声に、涙が溢れる。
「んあっ…しゅうすけっ…しゅうすけぇ」
 何も言葉にできなくて、ただ彼の名前を呼び続ける。
 その度に周助は私の名前を呼んで、キスをくれた。
「ひああッ…っ…もっ…いっ…ちゃ…っ」
「いっていいよ、
「やッ…しゅ……も…いっしょっ…」
「うん、一緒にいこう」
 ぎゅっと抱きしめられ、最奥を強く突かれて意識が飛ぶ瞬間、周助の熱いものが放たれたのを感じた。



 目を開けると見なれた天井が見えた。
 ここは…周くんの部屋だ。
 どうしてここにいるの?
、気がついた?」
 ベッドに横たわった私を覗き込んで周くんが訊いた。
 そうか、私あのまま気を失っちゃったのね。
 そこまで思い出し、ハッとする。
 とんでもないことたくさん言っちゃった。しかも恥ずかしいことばかり口にしてた。
 欲しいとか、中に出してとか、いっぱいにしてとか。
 どうしてあんなことが言えたのか謎で、それ以上に恥ずかしくていたたまれない。
 あんなの女の子が言う言葉じゃないわ。
 無性に恥ずかしくて布団を引っ張り上げて顔を隠した。
「フフッ。さっきはあんなに大胆だったのに」
「や、やだっ。お願い、忘れて」
「僕は嬉しかったよ。僕のこと愛してくれてるんだなって」
「周くん…」
 思わずちょっとだけ…鼻の上まで布団を下ろした。
 周くんが優しく微笑む。
「痛いところはない?」
「ん、平気。 周くんが運んでくれたの?」
「うん。先生には適当に言って、午後の授業は二人ともサボリだけど」
「ご、ごめんね」
「謝るよりもキスしてくれるほうが嬉しいな」
 首を傾げて楽しそうに周くんは言った。
「……ありがとう、周くん」 
 上半身を起こして周くんの唇にキスをした。
「大好き」
「僕も好きだよ」
 近づく唇に目を閉じると、甘くて蕩けてしまいそうなキスをされた。




END



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