Whereabouts of heart




 風で窓ガラスがガタガタと音を立てる。
 外はコートなしでは歩けないほど寒くなってきていた。
 けれど周助の部屋は、熱い空気と甘い声に支配されていた。
「んっ…んうっ……っ」
 周助の舌がの口内に入り込み、彼女の舌を甘く絡めとった。
 離れることを許さないように、周助の腕はの細い体を強く抱きしめる。
 息をつけないほど激しくなる深いキスに、の唇から苦し気な声が聞こえる。
 チュッと音がして唇が離れると、二人の間に銀糸が紡がれた。
 周助の唇はの首筋を這って鎖骨へたどりつき、そこに赤いシルシを刻む。
「この痕がずっと消えなければいいのに」
 周助は色素の薄い瞳を細めて小さく呟いた。
「どうして?」
に忘れられたくないから。僕のシルシがあれば、それを見る度には僕を想ってくれるでしょ」
「周助…」
「ねえ、。君の中に僕を刻み込ませて。いつでも、どこにいても、が僕を思い出せるように」
 が何か言うより早く、周助の唇は彼女の胸の蕾を口に咥えて愛撫を始める。
 一方の蕾を周助の熱い舌でなめられ、もう一方の蕾は彼の指でこねられ、の唇からは甘い嬌声が絶えず漏れる。
「あふっ、あっ、んっ」
「君の声がもっと聞きたい。もっと啼いて、
 その言葉とともに周助の唇と指が桜色の蕾から離れ、の腹部をたどり、秘部に向かって下降を続ける。
 指先を花弁に這わせるとそこはしっとり濡れていて、甘い香りが周助を誘っていた。
 卑猥な音がして周助の長い指がの中へ埋まり、ゆっくりと抜き差しを繰り返す。
「あんっ…あっあっ…ヤ…ッん」
「その声ゾクゾクするよ」
 甘い嬌声と水音が静寂な部屋に響く。
 周助の2本の指がの中の敏感な部分を執拗に攻める。
「やあっ…んッ…そこ…ヤッ」
「クスッ、嘘はダメだよ。はここが一番感じるんだよね」
 周助はの内壁の弱い所を引っ掻くようにして刺激を与える。
 左右に開かされた細い脚がガクガク震えだし、の限界が近いことを知らせる。
「一度いったほうがいいよね」
 周助は挿入している指の動きを早めた。同時に叢に隠れて刺激を待っている花芯を舌先で突いて、口で強く吸い上げた。
「ひあああっ…ッ」
 の細い体がびくりと跳ねて、シーツの波に埋まった。
「いい?」
 熱くなった楔を秘部の入口に押し当て周助が訊くと、はコクンと頷いた。
 周助は熱くなった楔をの奥深くまで一気に挿入した。
「はぁんッ…んっ…あッ」
っ…好きだ…ッ」
「んあっ…ん…ッ…ああ…っ」
 周助はの弱い所を適確に攻めて、彼女を高みへ昇らせる。
「くっ……もっと啼いて。…僕を感じてよッ」
「もッ…ダメっ……んッ…しゅう、すけぇ」
 甘い声で懇願して、周助の背中に回した白い腕に力がこもった。
「いくよッ」
 周助はの奥深くで熱く息づく楔を入口まで引き抜き、彼女の腰を強く引き寄せながら最奥まで突き上げた。
「あああああーーーッ」
  の中が周助の楔を強く締め付ける。が達する瞬間、周助は彼女の中に熱い激情を注ぎ込んだ。



「寒い」
 刺すように冷たい空気を肌に感じて、は目を覚ました。
「雪が降ってきたからかな」
 周助の言葉には窓に瞳を向けた。
 灰色の空から白い雪が地上に舞い降りているのが見える。
 闇の中で雪だけが仄かに光っていた。
「……くしゅっ」
 布団の中にいるとはいえ何も身に纏っていないが寒さに小さくくしゃみをした。
 それを見た周助はを引き寄せ、細い体は彼の腕の中へ閉じ込められた。
「こうしていれば温かいでしょ」
「そうね。寒くても周助がいるなら…」
 が周助の胸に顔を埋めて囁くように言うと、周助は細い体を抱き締める腕に力をこめた。
「いまだけじゃなくて、どこにいても僕を思い出してよ」
「うん、約束する」
 がそう言うと、周助は再び彼女を組み敷いた。
「ねえ、もっとを愛させて」
 周助はの耳元で、熱のこもった甘い声で囁いた。
 愛し合う恋人たちの願いを叶えるかのごとく、外では雪が静かに降り続けていた。




END



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