Happy Christmas




 短く2回、チャイムを鳴らす。
 けれど、いつもならすぐに開かれるはずの扉は開かれなかった。
 不思議に思いながら、鞄から家の鍵を取り出して扉を開けた。すると家の中は真っ暗だった。
、いないの?」
 革靴を脱ぎながら、声を上げた。
 それと同時にパッと玄関の明かりがついて、パーンという大きな音がした。
 さすがに僕もこれには驚いた。
 クラッカーの音なんて久々に聞いた気がする。
「ふふっ。お帰りなさい、周助」
 が楽しそうに笑いながら言った。
 イタズラが成功して喜んでいる子供のような表情。
「ねぇ、
「なに?」
「今日はなんの日?」
「なんのってクリスマスイブでしょ」
 は首を傾けて、何を言ってるのって顔をした。
 全く。君は全然わかってないんだね。
 愛する君と二人だけでクリスマスイブを過ごしたくて早く帰宅してきたのに。
 家の中は真っ暗だし、お出迎えはないし。
 イブの夜とは思えないよ。
 今日は結婚してから初めて迎えるクリスマスなのに。
「甘いクリスマスを過ごしたくて早く帰ってきたのに、クラッカーでお出迎えとは、ね」
「いけなかった?」
「そういう訳じゃないけど、僕はお帰りなさい、あなたって出迎えて欲しかったよ。もちろんキスもつけてね」
「なにそれ…」
「いつもしてくれないんだから、クリスマスイブくらいいいでしょ?ね、?」
 僕はにっこり笑って言った。
 が僕の笑顔に弱いことを知っている上で、あえてそれを利用する。
 すると案の定。
「お帰りなさい、あなた」
 そう言って、は僕の頬にキスをくれた。
 ホントは唇にして欲しいんだけどね。
 僕の誕生日までとっておこうかな。
「ねぇ、もういいでしょ?放してよ、周助」
「え?」
 僕は無意識の内にを抱きしめていたらしい。
「まだ料理が全部できていないのよ。今日は周助の好きなものを作ってるんだから、大人しく待っててよ」
 頬を膨らませ、は言った。
 その言葉に僕はクスッと笑って、の膝裏に腕を回して彼女の細身の体を抱き上げて、寝室へ向かった。
 ダブルベッドの上に華奢な体をおろしての上に覆いかぶさると、腕の中から抗議の声が上がる。
「周助!私の話を聞いてるの!?」
「聞いてるよ。僕の好きなものを作ってくれてるんでしょ」
「わかってるなら放して」
「僕の好きなものはなんだけど?」
 彼女が何か言うよりも早く、柔らかい唇を奪う。
「…んっ…あッ…あぁ……っ」
 服を脱がせながら、の首、鎖骨、胸元、腹、余すところなく口づけて強く吸い、僕のシルシをつけていく。
 敏感になっている体は軽く唇で触れただけでもヒクリとしなった。
「やっ…っしゅう…っん…」
「クスッ。イヤじゃないでしょ、
 指を彼女の秘部に這わせると、そこからは甘い香りの蜜が溢れていた。
 入口を軽くなぞっただけで、桜色に染まった肢体が跳ねて、甘い嬌声が漏れる。
「はあっ…んっ…いじ…わるッ…」
が素直じゃないからだよ」
 の黒い瞳を覗き込んで言うと、彼女は真っ赤な顔をして僕から瞳を逸らした。
 結婚する前も、結婚した後も、何度も肌を重ねているのに、はいつになっても慣れないらしい。
 そんな仕種がどれだけ僕の理性を煽っているのか、はきっと知らないだろうね。
「か…さまのっ…た……のにっ」
 衝動をおさえられなくてを愛していると、腕の中から途切れ途切れに声が聞こえた。
 荒い息の中どうにか言葉を紡ごうとするの声が上手く聞き取れなくて、の中を掻き回している指の動きをいったん止める。
?なに?もう一回言って?」
 落ち着かせるように、唇にキスをする。
 そうしての唇が紡いだ言葉は。
「神様のたんじょ…び…なのにっ…こんなっ…こと…ッ」
 どうやらは聖なる夜なのにセックスをしていることに戸惑っているようだった。
 でも僕は神様の誕生日だから、いいと思うんだけど。
 愛は穢れたものじゃなくて、神聖なものでしょ?
「神様の誕生日なら、なおさら嘘はつけないよ。を愛してるから、抱きたくて仕方ないんだ」
「しゅ…け…」
「それでもダメ?…が嫌ならやめるよ?」
 訊ねるとはゆるく首を横に振った。
「…嫌じゃ、ない。だから…」
「だから?」
「最後まで…しよ…」
 涙で潤んだ瞳で言われて、ドクンと鼓動が早まった。
 の中から指を引き抜き、服を脱ぎ捨てた。
 熱くなったペニスを、蜜で潤った花弁の入口に押し当てる。
 十分に濡れたそこはなんの抵抗もなく僕を受け入れ、飲み込んでいく。
「んくっ…ふっ…あ…っ」
 腰を突き上げる度にの口から甘い声が漏れて、背中に回された細い腕がギュッと僕を抱き締める。
「んっ…ッ…んああっ…っ」
「…ッ。っ…愛してる…ッ」
「ああんっ…しゅう…しゅうすけっ…」
 の呼吸が荒くなってきた。それと同時にの中が僕をきつく締め付ける。
 の限界が近い。
 両脚を抱えて、奥まで激しく突き上げていく。
「ああッ…しゅうっ…ああんっっ」
 の声が一際高く上がった。
 再奥に突き立てたペニスを一度入口まで引き抜いて、再度強く突き上げた。
「ひああああーーーっっ」
「…っ…ッ」
 が頂点に達したのと同時に、の中に精液を出した。
「…っ…しゅ…すけ…好き…大好き…」
 荒い呼吸を零しながら、は僕を見上げて言った。
 嬉しくて、の中からペニスを引き抜くのも忘れて、僕はを力一杯抱きしめた。
 彼女の耳元に唇を寄せる。
、愛してる。それから、Merry Christmas」
 唇にキスをして彼女に微笑みかけた。
「Merry Christmas」
 はふわっと微笑んで、可愛らしい声とともに唇にキスを受け取った。




END



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