温泉と言ったら…?




 静まり返った室内に甘い声が上がる。
 その声を上げているは気持ちがいいらしく、幸せそうな顔をしている。
「…ここは?」
「ッん…気持ちいい…」
「このへんも凝ってるね」
 うつ伏せになっている細い体の腰のくぼみにあるツボを、指先で少し強めにグッと圧す。
「…んっ…周助って上手い…っのね」
「それは良かった」
 周助はと会話を続けながら、彼女の肩、背中、腰の凝っている部分を器用に探り当て、ほぐしていく。
「立ち仕事だから、足も凝ってるんじゃない?」
「そっ…かも…。ねぇ、しゅうす…け」
「ん?」
「な…んで…マッサージ上手な…の?」
「乾に教えてもらったんだよ。ツボとか色々ね。せっかく温泉旅行に来るんだもの。仕事で疲れているにマッサージしてあげようかなって思ってさ」
「んッ…そっ…だった、の。嬉し…い」
 腰をマッサージしてもらっているため、はさっきから途切れ途切れにしか声を出せないでいる。
「ねえ、。もっと効果的な方法、知ってる?」
 周助は秀麗な顔に笑顔を浮かべて訊いた。
 はうつ伏せになっているから、周助の表情は全く見えていない。
 さらに、マッサージによって意識も朦朧としているのか、周助の言葉に対して何の警戒心も抱いていないようだった。
「知らな…い。…どんな、の?」
 その言葉が引き金だった。
「服の上からじゃなくて、肌に直接触れて揉むといいんだよ」
 周助は言いながらの浴衣の帯を解いて抜き取った。
 細い体を反転させ仰向けにする。
 帯が解かれたことで浴衣の合わせがなくなり、明るい光の下での白い肢体が露になった。
 つい先程部屋についている露天風呂から上がったばかりで、は浴衣の下にショーツしか着けていなかった。
「いい眺めだね」
 周助がフフッと楽し気に笑う。
 そんな周助からは目を逸らしたかった。逸らしたかったけれど、できなかった。
 はだけた紺色の浴衣の下に見える周助の胸元が艶かしくも色っぽくて、目が離せなかった。
 男性にしては細身の部類に入る周助だけれど、高校でテニスをしているためか、服を着ている時は分からないが、しっかり筋肉がついていて男らしい体つきをしている。
、どうしたの?」
 何の抵抗も示さない彼女を訝し気に思ったのか、周助は訊いた。
 その声に我に返ったは瞬く間に顔を真っ赤に染めてうろたえた。
「マ、マッサージしてくれるんじゃなかったの?!」
 それだけを口にするのが精一杯という様子のに、周助は自嘲気味に笑った。
「してあげたいのはやまやまなんだけど…」
 周助はの首に唇を寄せ、痕が残るほど強く吸い上げた。それに応えるように白い体がビクリとなる。
「あんなに色っぽい声を出されたら、ね」
 我慢できないよ、と耳元で熱く囁いて、そのまま耳に舌を這わせた。
 脳裏に響くような音にはたまらず声を上げた。
「やっ…や…だッ…」
「クスッ、は耳も弱いんだよね」
「周助のば…んんっっ」
 の抗議の声を周助はあっさりとキスで遮る。
 周助はすでに露になっている、小ぶりだが形のいい胸を掌におさめて、強弱をつけて揉み始めた。
 唇を塞がれたままのから吐息のような声がもれる。
 キスは触れるだけのものから濃厚なキスに変わる。周助はの舌を深く絡め取り、角度を変えての理性を奪い取っていく。
 ようやく唇が解放された時、の息は甘いものになっていた。
 その様子に周助は満足そうに微笑んで、桜色に染まり始めた肌に愛撫を加えていく。
「ふぁ…んっ…アァんっ…」
 胸の蕾を指で捏ねるように刺激を与え、立ち上がった蕾を舌先で転がしてから強く吸い上げると、甘い嬌声が上がった。
「いつもより感じてるんじゃない?」
「んあっ…はっ…そ…ことなっ…」
「ここはそう言ってないみたいだよ」
 言いながら下着の上から秘裂をなぞると、桜色に染まった体がビクッと跳ねた。
 下着の隙間から指を忍ばせ花弁に触れると、熱い蜜が指に絡みつく。
 周助は蜜が絡みついた指を見せつけるように、の眼前へ差し出す。
「ほら、こんなに濡れてるよ?」
 羞恥に頬を真っ赤に染め、は顔を逸らす。
 周助の微かな笑い声とともにショーツが下ろされ、脚から抜き取られ、濡れた秘部が露になった。
 の膝を折るようにして、細い両脚を大きく開かせる。
のここ、きれいだね。奥までよく見えるよ」
「やあっ…見ないでぇ」
 嬉しそうに言う周助から身を捩って、は逃れようとする。
 けれど、そんなの体を周助は難無くおさえ込み、蜜で濡れて光る花園に顔を埋めた。
「ひあっ…あ…あンッ…」
 蜜壷へ舌を差し入れ内壁を押し上げるように刺激すると、熱くなった花弁から更に蜜が溢れ出す。
 舌を出し入れする度に、ピチャピチャと卑猥な水音が響き、攻める男の熱を上昇させる。
 叢に隠れる熟れた蕾を舌先で押し上げると、一際高い声が上がった。
「アァっ…や…あんっ…ッ」
の蜜は甘くてオイシイね」
 そう呟いて、熟れた蕾を強く吸い上げた。
「ひあああっっ」
 甘い嬌声を上げて細い体がヒクリとしなる。
「まだだよ。はこれだけじゃ足りないでしょ」
 軽く達した体は敏感になっていて、周助が軽く触れただけでも反応する。
 それが周助を更に煽る材料となるのだが、はわかっていない。
 じゅうぶんに潤っている蜜壷に周助の長い指が2本、ズプッと卑猥な音をさせ挿れられる。
 中に侵入をはたした指は内壁の弱い所を適確に探り当て、抉るように擦り上げてを高みへと昇らせていく。
「んくっ…あぁ…ン…っ」
「よかった、気持ちいいみたいだね」
「やっ…ふああッ…ッ」
「フフッ。ねぇ、。もっと気持ちよくしてあげるよ」
 もう1本増やしても大丈夫そうだと判断し、周助は指の数を増やした。
 3本の指を付け根まで挿れ、バラバラに動かしたり、抜き差しを繰り返して刺激を与えながら、叢に隠れた蕾を親指の腹で抉るように強く擦り上げた。
「やっ…あああっ…」
 高い悲鳴を上げ、は体を仰け反らせた。
 しばらくしての呼吸が僅かだが整った頃。
、いい?」
 周助は蒸気して赤くなったの頬を撫でるようにして訊いた。
 は小さく頷いて、周助の首に腕を回して抱きついた。それを合図に周助は秘部に大きくなった楔を押し当てた。
 けれど、周助は楔の先端を中へ挿れただけで動きを止めた。
「周助っ…や…なんで」
 愛してくれると思った矢先に望んだものを与えてくれない恋人に不満の声を上げた。
「たまにはにしてもらいたいな。僕が手伝うから…ね」
 周助が体を後ろへ倒すと同時に二人の体勢が入れ代わり、横たわる周助にが跨がる形になった。
「ひあああんっ…っ」
 自らの体重がかかり、の中は一気に奥深くまで周助の楔を飲み込んだ。
 初めての体勢を取らされたは羞恥に耳まで真っ赤に染めた。
「やだっ…しゅうっ…わたし…っ」
 この体勢はすごく恥ずかしい。視線をちょっと動かすだけで、秘部が周助の楔を飲み込んでいるのが見えてしまう。
 逃れようと動くと周助を感じてしまって、けれど、動かないとこのまま――周助の楔を飲み込んだままだ。
 周助が欲しかったけど、望んでいたのと違う形で叶えられた。
「っ、しゅう、すけっ」
 名を呼ぶに周助は微笑む。
「ゆっくり腰を動かして?」
「やっ…できなっ……ッ」
 息の上がった声では言った。
「仕方ないね」
 周助はの答えを予想していたように言って、細い腰を支えるように捕まえて、彼女の身体を上下に揺らした。
「やぁっ…ッ…ふっ…あッ…」
 周助の熱く猛った楔で内壁を擦られ、抉られ、羞恥が快楽に押し流されていく。
「いいよ、
 いつしかは横たわる周助の胸元に両手をついて、自ら動いていた。
「んあっ…っああん…しゅうっ…んくぅ」
 は涙で頬を濡らし、体を上下させて周助を求めた。
 その卑猥な姿に周助はたまらず腰を強く突き上げる。
「はああんっ…やっあッ…いっちゃ…っ」
「いいよ。いって…」
 周助は細い腰に添えていた手をの両脇に移し、動きに合わせて上下する胸の蕾を親指で押しつぶすように刺激を加えた。
「ひっ…あ…ああーーっっ」
 喉を仰け反らせ頂点を極めた体が周助の上に倒れこむ。彼はそれをやんわりと受け止めた。
 達してしまったと違い、周助はまだ高みへ昇りつめていなかった。
 力の抜け切った身体を組み敷くと、黒い瞳が驚きに開かれた。
「しゅ…すけ…?」
「まだ足りないんだ。それにさっきがいく時の顔、見られなかったから。今度は見せてね」
 甘く囁いて、周助は腰を動かし始めた。
 達したばかりの体には過ぎるほどの感覚には悲鳴に近い声を上げる。
「やああっ…ダ…メぇっ…しゅ…すけぇっ」
「…ッ…っ…」
 楔を入口まで引き抜いては奥を突き上げ、突き上げては引き抜く。その合間にもの弱い所を先端で擦り上げることを忘れない。
 激しさを増すばかりの周助の動きには身も心も限界だった。
「はっ…ああ…っ…しゅうすけ…っ」
 恋人の名を呼んで遠のく意識を何とか保とうと、必死に周助の首にしがみつく。だが、だんだん腕に力が入らなくなる。
 そんなの唇に周助は深いキスをひとつ落とした。
ッ、…愛してるよっ」
 細い腰を抱き寄せ抉るように深く最奥を突き上げると、は甘い嬌声を上げて、再び頂点に昇りつめた。同時に周助も熱い激情をの中へ解放した。


 息と体が落ち着きを取り戻した頃、は布団からけだるさが残る体を起こした。
?」
 隣に横たわっていた周助も体を起こす。
 は何も着ていない肌に紺色の浴衣を羽織りながら口を開く。
「お風呂に入ってくるわ」
「どこの?」
「この部屋のよ」
「じゃあ僕も行くよ」
「私は一人で入りたいの!」
「たまには一緒に入ろうよ」
「ダメ」
 間髪いれずに周助の提案を却下して、は一人で露天風呂に向かおうとした。けれど、激しく抱かれたせいで上手く歩けない。
 そんなを見て周助は顔に不敵な笑みを浮かべた。
「そんなにフラフラしてたら目が離せないよ」
 立ち上がった周助はの傍へ行き、細い体を横抱きに抱き上げた。
「しゅ、周助?」
「二人で仲良く入ろう」
 そうして二人で露天風呂に入った。だが危惧していた通り、そこでも周助に抱かれてしまって、がようやく安眠できたのは明け方近くだった。




END

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【Deep inside】橘 紫苑様へ献上。
相互記念に頂いたイラストにドリームをつけさせて頂きました。
頂いた時にドリームのお話をしまして、許可を頂きました。が、形になったのが遅く…(汗)
部屋付きの露天風呂は好きな時間に入れて最高ですよね〜。
周助さんのマッサージつきならなおさら(笑)


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