Birthday gift is...




 全身が映る鏡で服装をチェックする。
 ホットカーラーで撒いて、ゆるめに仕上げたカールにおかしいところはない。
 化粧はファンデーションをつけて、アイシャドウ、口紅だけと軽めに仕上げた。
 口紅の色は散々迷った挙げ句、以前つけた時に周助が似合うと言ってくれたレッドオレンジにした。
 服は去年の誕生日に周助がプレゼントしてくれたブラウンのワンピースを選んだ。胸の下あたりに切り返しがついており、丈も膝丈で動きやすく、裾がふわっとなっている。けれど決して子供っぽくは見えず、細身のの身体のラインが綺麗に見える。しかもそのワンピースはのためにあつらえたように、彼女にぴったりだった。
「…周助って、やっぱりセンスいいわよね」
 鏡に映る自分の姿を見ながらそう呟いた。
 実はこのワンピースを着るのは初めてだった。
 ――男が女に服をプレゼントするのは、それを脱がせるためなんだって。周助君もやるわね〜
 誕生日プレゼントに周助からワンピースを贈られた話を親友にした時、そう言われた。
 それを鵜呑みにする気はないけれど、無視することもできなくて、今日まで袖を通したことがなかった。
 でも、やっぱりこれしかないかな、と思った。


 出かける用意を済ませ、昨夜作った抹茶クリームのプチケーキを数個詰めた白い箱を手にして、は自宅のアパートを出た。
 今年の春大学三年になる周助は実家を出て、の住むところから車で15分程の所で一人暮らしをしている。
 自宅近くのバス停まで歩いて数分待つと、彼の家方面へ向かうバスがやってきた。
 そのバスに乗り込んで、周助の家から歩いて5分程の所にある停留所でバスを降りた。
 通り慣れた道をまるで初めて通る道のように緊張して歩くと、彼の住む場所へ辿り着いた。
 一呼吸おいて、チャイムを鳴らす。
 が来るのを知っていたかのように、すぐに扉が開かれた。
 部屋の主がにっこりとに笑いかける。
「いらっしゃい、
「ごめんね。ちょっと早く着いちゃった」
「かまわないよ。それに僕としてはその方が嬉しいしね」
 そう言ったかと思うと、周助はの腕をグイッと引っ張り家の中へ引き込んだ。
 扉が閉まる音がしたと同時に、細い体は周助に抱き締められていた。
「こうしてゆっくり逢うのは久しぶりだよね」
「そうね。でも…」
「でも、何?何か不満でもあるの?」
「そうじゃなくて、ちょっと苦しいわ」
「あ、ごめんね。ちょっと欠乏症だったから」
 そう言って、周助は悪戯っぽく笑った。


 周助の部屋に通されたはベッドに腰を下ろした。
 すると同じように周助もの隣に座った。
「周助、お誕生日おめでとう」
 はケーキが入っている箱を差し出した。
 周助はそれを受け取って嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。これ、の手作りだよね」
「うん」
「あとで一緒に食べよう」
 周助は箱をテーブルの上に置いた。
「それとね、もうひとつプレゼントがあるの。…はい」
 言いながらは周助に両手を伸ばした。
「え?」
「…受け取って?」
 頬を僅かに赤く染めてが言うと周助は意味が理解できたようで、彼は驚きに色素の薄い瞳を瞠った。
 普段のからは想像できない大胆な行動に、周助も幾分が動揺したがそれをばれないように押し隠す。
、そんなことされたら本気にとるよ?」
 こんなに可愛く誘惑されては、本当に抱きたくなってしまう。
「いいの?」
 確認するように訊くと、は耳までも赤く染めて頷く。
「本気にとって」
 小さな声で言うに周助はクスッと笑う。
「喜んで受け取らせてもらうよ」
 甘く熱い声で肯定して、周助はルージュがひかれた唇に自分のそれを重ねた。
 周助はキスをしたままをベッドに押し倒した。
 舌を絡め取るように吸い上げ、呼吸さえ許さないような深いキスを繰り返しながら、周助はの背中に腕を回し、ワンピースのファスナーを下ろした。
 名残惜し気に彼女の唇をゆっくり解放すると、銀色の雫がの唇からツツーッと滴り落ちた。
 周助はその雫を指先で拭って、ワンピースを脱がせながら徐々に露になる白い肌に口付け、強く吸い上げていく。
 そうして細い体に所有のシルシを刻みつけながら、指を下肢に這わせる。
「んっ…はぁ…ッ」
 下着の中に指を潜ませ蜜壷の入口を軽くなぞると、甘い嬌声とともに細い体が跳ねた。
「どうしたの?今日はいつもより敏感だね。まだここを愛撫してないのに」
 言いながら、周助は小さめだが形のよい乳房を手におさめた。
 強弱をつけて揉みながら、赤く色付く先端を指先で摘んで、クリッと刺激を与えた。
「っあ…あんッ」
「ほらね。いつもより感じてるよ」
「ふっ…ん…そな…っこと…ッ」
 ない、と言いたかったが、言葉は最後まで口にできなかった。
 一瞬のうちに下着は脱がされて、露になった秘部に周助の指が挿れられた。
「はぁ…っ…んぁっ」
「すごい濡れてるよ」
 厭らしく水音をさせながら、の中は周助の長い指を咥えていく。
 そんな淫らな自分が嫌で、は反射的にイヤイヤをするように頭を振った。
「しゅうっ…や…やァッ…っ」
「イヤなの?じゃあ、やめていいんだ?」
 周助は意地悪くそう言って、の黒い瞳を覗き込んだ。
 するとは上気して赤く染まった頬を更に赤く染め、頭を左右に振った。
 それだけで周助には伝わったはずだが、彼はそれを許さなかった。
「ダメだよ。ちゃんと口で言って?」
 言わないとあげないよ、と視線で訴えられ、は羞恥に黒い瞳から涙を零した。
「…ごめん。虐めたいわけじゃないから、泣かないで」
 周助は瞳からこぼれ落ちる雫に唇を寄せて、それを舌で優しく拭い取った。
 が甘えるように周助の首に腕を回して抱きつくと、彼の耳に震えた声が届く。
「おねが…い…しゅう、すけ…」
「うん。もう、焦らさないから」
 そう言うと、中に挿れた指の数を増やし、彼女の感じるところを引っ掻くようにして刺激を与えながら、抜き差しを繰り返した。
 周助の手を滴り落ちるほどに蜜壷から愛液が溢れ出して、シーツに染みをつくる。
 の体が小刻みに震えだす。周助は彼女の眼界が近いのを感じ取り、叢に隠れる熟れた花芽をこすりあげた。
 高い嬌声が上がり、白い体が弓なりに反れてベッドへ沈んだ。
 しばらくしての呼吸が整ってきた頃。
、いい?」
 細い脚を割っての中心に熱くなった自身を押し当て訊く。
 は細い指先で恋人の唇をそっとなぞった。
 それを合図に、周助は楔を熱く熟れた中に挿入した。
 十分すぎるほどに潤ったそこは、熱い楔をすぐに根元まで飲み込んだ。
「…の中、すごく熱いね」
「んッ…しゅう…すけ…もっ…熱いッ」
「フフッ。…もっと熱くしてあげる」
 そう言って、周助はゆっくり動き出す。
「ふっ…ああっ…んくぅ…」
 彼女の中の感じるポイントを寸分の狂いもなく適確に攻めて、周助はを高みへ昇らせていく。
「あっん…っ…しゅう、すけぇ」
「…ッ…っ」
「んぅ…あっ…ああっ…ッ」
「くっ…もう、いっちゃいそうだね」
 の強い締め付けに周助は柳眉を顰める。
「ンッ……もっ…ダメぇっ」
 逞しい体に縋り付くようにしがみついては訴えた。
「いいよ。いかせてあげる」
 周助は質量を増した楔を花園入口ギリギリまで引き抜いて、の最奥を強く突き上げた。
「ひぁっ…あああーーーっっ」
 高い悲鳴を上げて、桜色に染まった体が仰け反る。
 が意識を手放す瞬間楔を強く締め付けられ、周助は彼女の中に熱い激情を注ぎ込んだ。


 が目を覚ますと、心配そうに自分の顔を覗き込む周助の姿が瞳に映った。
「周助…」
「気がついた?があまりにも嬉しいことを言ってくれるから、手加減できなかった。ごめんね?」
 の前髪を愛おし気に梳いて額にキスを落とすと、彼女はフワリと微笑んだ。
「大丈夫。…周助」
「ん?なに?」
「大好きよ、周助」
「僕もが大好きだよ。誕生日を祝ってくれてありがとう」
 周助は幸せそうに笑って、の唇に甘いキスをした。




END

2004.02.26  Ayase Mori
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【Love is all】に投稿したもの。一部修正。
投稿物だったため半分くらい短くしたので、後日完全版にして再度アップします。

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