Love




 雪のように降り積もって

 いつか―――

 恋は愛に変わる



 カーテンを開けて窓越しに外を見ると、雪が風に踊っていた。
 猛吹雪ではないけれど、それなりに大雪だ。
「すごいな…」
 呟くと白い吐息が溢れた。
 足元から這い上がってくる寒さに少し身震いをして、視線をベッドへ向けた。
 そこには僕の愛しい女神が身を横たえている。
 赤く色付く唇から聞こえるのは、微かな寝息。
 を起こさないようにベッドの端へ静かに座った。
 形のいい額にかかった艶やかな黒髪を指でそっと梳く。
 が愛しくて。愛しすぎて。触れたくなる。
「う…ん」
 ブランケットから覗く白く細い首に指を這わせると、くすぐったいのかは身を捩った。
 それが卑猥に見えるのは、雪のように白い肌に散った幾つもの赤い花のせいだろうか。


 恋い焦がれて

 待ち望んで

 ようやく手に入れた

 誰よりも愛しい人


「どうしてこんなにあなたが愛しいのかな」
 寝息が溢れる柔らかな唇にキスをする。
 優しく啄むだけのキスじゃ足りなくて、の柔らかな唇を割って舌を忍ばせた。
 舌を絡め取って吐息を奪う深いキスをする。
「…んんっ?」
 キスの感触に目を覚ましたが、黒真珠のような瞳を瞠った。
 僕が瞳を開けてキスをしていたからだろう。
 恥ずかしさに彼女の目元が瞬時に淡く染まる。
 名残り惜しかったけど、僕はの唇を解放した。
「しゅ…すけ…」
「起こしてごめん」
 謝るとは緩く首を横に振った。そして潤んだ黒い瞳で僕を見つめる。
「どうしたの?」
 白く細い指が僕の頬に触れる。
 その指を捕まえて、僕は苦笑した。
に触れたくなったんだ。愛しくて…愛しすぎて――あなたが幻じゃないことを確かめたくなったのかもしれない」
「私は幻じゃないわ」
 はベッドから華奢な体を起こして、僕の胸に身を寄せる。
 一糸も纏っていない、素肌のの体温をダイレクトに感じる。
「ね?幻じゃないでしょう?」
 がふわっと優しく微笑む。
 僕もそれに微笑み返して。
「もう少し――」
「え?」
に花を咲かせたい」
 の耳元で囁いて、華奢な体をベッドに沈めた。
 真っ白なシーツに広がる艶やかな黒髪と同じ色の瞳を間近で見つめる。
「…誕生日プレゼント、もっと欲しいんだ。もらっていいかな?」
 白い頬が一瞬にして桜色に染まる。
 は瞳を閉じて小さく頷いた。
 それが可愛らしくて、クスッと小さく笑った。
 ゆっくり唇を重ねる。
 深く、浅く。何度も何度もキスの雨を降らせて。
 の体の力が抜けたのを確認してから、ほのかに桜色に染まった肌に指を這わせる。
 白い膨らみを掌で包むように触れて、赤い蕾を指で軽く摘むとビクッと身体が跳ねて、甘い嬌声が赤く色付く唇から上がる。
「…んっ…しゅう、すけ……」
 恥ずかしそうに頬を赤く染めて、僕の名前を呼ぶ。
「きれいだよ、
 耳元で囁いて、指と唇を白い体に這わせる。
 の胸元は僕が散らした赤い花に埋もれている。
 昨夜埋め尽くすように赤いシルシをつけたそこに、上から新しい僕のシルシをつける。
、もっと声を聴かせて」
 白い膨らみの赤い蕾を口に含んで軽く歯を立てながら、桜色に染まった体の性感帯を攻めていく。
 の感じるところを攻めながら、彼女の下肢に指を這わせた。
 叢に隠れた花芽に指でそっと触れる。
「や…っ…んッ」
 耳に届いた甘い啼き声。
「フフッ。可愛い、
 そう言うとは恥ずかしそうに細い身体を捩った。
「ダメだよ。僕から逃げないで、
 細い体を腕の中に閉じ込める。
 の赤く色付いた頬を捕えて、柔らかい唇に口付けた。
「僕しか知らないを見せて?」
 囁いて、蜜で潤った花園に指をゆっくり挿入した。まずは一本。
 熱く潤ったの中は、僕の指を抵抗なく受け入れていく。
 蜜で充分に潤ってきたのを確かめて、指を一本から三本に増やした。
 中に入れた指を動かす度に、卑猥な水音が室内に響く。
「ん…やっ…あんッ」
 の中の感じるところを擦るように撫でると、甘い吐息が溢れた。
 言葉とは裏腹にの中は僕の指をすんなり受け入れてくれている。
 それが嬉しくて、少しだけイジワルをしたくなる。
「クスッ。のここ、嫌じゃないみたいだよ?僕の指を気に入ってくれて、美味しそうに飲み込んでる」
 僕の言葉が恥ずかしいのか、はそれを否定するように首を左右に振った。
 それは僕を煽る材料としかならない。
 けれど、その仕種が僕の欲を煽ることになるのを、昨夜が初めてだったにわかる筈もない。
「そんなに可愛いことされたら我慢できないよ?」
 甘い蜜の溢れる花園から指を引き抜くと、微かな甘い吐息が唇から溢れた。
 クスッ、すごく感じてくれてるね。嬉しいよ。
 でも、まだだよ。
 もっとあなたを愛したい。僕の全てで。
 指の代りに舌を花園へ挿れて、溢れ出る蜜を味わうように内壁を刺激する。
の蜜、甘くてオイシイ」
 僕だけが知っているの甘い蜜を、ゴクンと飲み込む。
 そして再び蜜の溢れるそこを舌で刺激してゆく。
「はっ…ん…やあッ…っ」
「もっとちょうだい?」
「ふ…ぁん……んんっ…やッ…ああッ」
 の吐息が次第に荒くなっていく。
 そろそろ限界かな?
 舌を抜いて蜜の溢れ出る花園に再び指を三本挿れて抜き差しを繰り返しながら、叢に隠れた花芽を舌先で刺激した。
 高い悲鳴が上がって、桜色に染まった細い身体がビクンと跳ねる。
―――」
 名前を呼んで、蒸気して赤くなった頬にそっと触れる。
 それだけで過敏になっているの体は反応した。
 そんなが愛しくて、頬が緩む。
 こんなを知っているのは僕だけだという喜び。
 昨夜が初めてだったとはいえ、肌を重ねて何度も愛しあったばかりなのに、どうしてこんなに愛しいと思えるのかという想い。
 僕を受け入れてくれた嬉しさに、幸せで眩暈がする。

 雪が積もって大地が白く染まるように。
 僕の中にという存在が、大切に積もっていく。

 恋から愛に変わった想いは、もう止まらない

 止められない――


「いい?」
 欲望を暴走しないように押しとどめながら、黒い瞳を覗き込んで訊いた。
 すると、は返事の代りに細く白い腕を僕の首に絡ませた。
…愛してるよ」
 熱く囁いて、熱く猛った僕をゆっくりと沈める。
 蜜で潤った花園は容易に熱くなった僕を受け入れていく。
「辛くない?」
 の中に半分くらい挿れて、そう訊いた。
 片手で足りないほど何度も愛し合ったけど、彼女はまだ慣れていないだろう。
 辛い思いはさせたくない。大事な人だから、大切に愛したい。
「ん…平気だから」
 やめないで
 赤く色付く唇がそう動いた。
 涙で潤んだ瞳で懇願されて、見つめられて。
 ギリギリに保っていた理性も飛んでしまいそうだ。
「周助?」
 動きを止めた僕を黒い瞳で不安そうに見つめる。
 僕はを安心させるように、目元にキスを落した。
「愛してる、
 細い腰を抱き寄せて、猛った僕をの中に沈めていく。
 全部おさめてから、ゆっくり律動を始めた。
 シンと静まり返る室内に、の甘い嬌声と衣擦れの音が響く。
 繋がった箇所から卑猥な水音が響く。
「あ…んんっ…しゅ…すけっ」
 甘い声を上げてが僕を呼ぶ。
 もっとの声が聴きたい。
 もっと僕を呼んで欲しい。
 可愛い声を僕だけに聴かせて。
。もっと僕を呼んで……僕を感じてッ」
 細い腰を支えて突き上げる。
 愛しているという気持ちが膨れ上がって、動きをコントロールできない。
 昨夜初めてを抱いた時のように、優しく慈しむように愛したいのに。
 僕の腕の中で乱れるが可愛くて、愛しくて、止められない。
「んあッ…しゅ、う…しゅう‥すけッ…っん…ああッ」
っ…愛してる。誰よりも愛してるッ」
「ふあっ…やああっ……しゅうッ…しゅ、すけぇっ」
 閉じられた瞳から、涙が溢れて白い頬を伝う。
 僕が激しく強く揺すり上げるたびに、透明な雫が宙を舞う。
「やッ…も…ああんっ」
 の感じるところを何度も攻めて、彼女を高みへと誘う。
 甘い声で啼くの白い首に唇を這わせて、きつく吸い上げた。
「んッ、しゅ…すけっ…わた…しッ」
「一緒に…いこう…ッ」
 質量を増したペニスを花園の入口ギリギリまで引き抜いた。
 細い腰を引き寄せながら、強く抉るように花園の最奥を突き上げる。
「やああーーッ」
「くっ…ッ」
 限界を迎えたが中にいる僕を一際きつく締め上げる。
 の中で限界を迎えた僕は、の中に熱いネツを放った。
 それと同時には体を震わせて気を失った。


「…う……ん…」
 焦点がまだはっきり定まっていないような黒い瞳が僕を捕らえる。
、大丈夫?」
「うん、平気」
 そう言っては優しく微笑んだ。
「無理させてごめん」
 細い体を抱きしめて言うと、は緩く首を振った。
 そして、僕の胸に顔を埋めて。
「周助だから……いいの」
 黒髪から微かに覗く耳が赤く染まっている。
 どうしてあなたは僕が嬉しくなることばかり言うのだろう。
 そんなに可愛い仕種で、愛しい声で言われたら――
「また抱きたくなっちゃうよ、
 驚いた顔でが僕を見上げる。
 じっと見つめていると、の頬がみるみる真っ赤に染まっていく。
 これ以上からかうのは可哀想だな。
「フフッ、嘘だよ。夕べから朝にかけて何度もを貰ったし、今も貰ったからね。こうしているから、眠っていいよ」
 抱きしめた腕に僅かに力を入れて、細い体を抱きしめ直す。
 癖のない黒髪を撫でるように、指でそっと梳いた。
「うん…傍にいてね、周助」
 ゆっくりと黒い瞳が閉じられた。
 柔らかな唇から寝息が溢れ始める。


 やがて陽が昇り、白く積もった雪は溶けていくだろう

 だけど――

への想いはずっと溶けないよ」
 囁いて、ベッドサイドテーブルへ腕を伸ばして黒い箱を手に取り、箱を開けて中身を出した。
 疲れ果て眠ってしまった恋人の左手の薬指に、彼女の誕生石のついた銀色に光る指輪をはめる。
 フフッ、目が覚めたら驚くかな?
 それとも優しい笑顔を見せてくれるかな?
「目が覚めたらは僕の婚約者だよ。答えはYESしか受け取らないからね」
 寝息の溢れる唇にキスをして、細い体を大切に抱きしめて僕も瞳を閉じた。


 ――ずっと離さない




END

『Eternal Love』で公開していた作品を周助視点にし、加筆修正をしました。

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