answer -Kikumaru ver-




 昼休み。購買でお茶を買って教室に戻ると、窓際にいた菊丸に名前を呼ばれた。
 名前を呼んだ彼は楽しそうな顔でのほうへ近づいてきた。
「ねえねえ、手を出してー」
「えっ?手、って、こう?」
 は唐突な言葉に驚きつつ、空いている右手を掌を上にして出した。
「そうそうっ。はいっ、これ」
 菊丸はよくできました〜、というような笑顔で、持っていた紙袋をの掌に乗せた。
 ライオンのイラスト入りの紙袋は見覚えがある。有名なドーナツショプのものだ。
 は何が入っているのかな、と袋を開けてドーナツを取り出した。
「わ、ハートの形してる。可愛い〜」
 珍しいと思うより、一目見て可愛いと思った。
 黒い瞳を輝かせるに菊丸は笑顔を顔いっぱいに広げた。
「君ならそう言ってくれると思ってたよ」
「…もしかして、わたしのために?」
「それ見たとき、ちゃんに買って帰らなきゃって思ったんだ」
 照れたように笑う菊丸には嬉しそうに笑った。
「ありがとう。嬉しい」
「俺も嬉しいにゃ」
 ざわめく教室内で、菊丸とのいる一角だけ、ドーナツにかかったホワイトチョコのように甘い空気が漂っていた。



「彼女が喜んでくれてよかったね」
 放課後の部活に向かいながら、隣を歩く不二が言った。
「ああ」
 ちゃんの喜んだ笑顔が可愛かったなあ、と思い出しながら菊丸は頷いた。
「不二も彼女に買えばよかったのに」
 不二は柔らかな微笑みを浮かべただけで、肯定も否定もしなかった。
 数日後。菊丸は友達の笑顔の意味を知ることになる。




END


千春さんがTwitterでミスドにハートの形のドーナツがあったと呟いていらして、
”このキャラなら○○する”と言ってらしたのを、ドリームにしました。

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