Kiss×Kiss
帰りのホームルームが終了すると、僕はすぐに帰る準備を始めた。 10月31日。 「不二ぃ。にゃんかあったの?すっごく嬉しそうだね」 「あ、英二。今日はね、 とデートなんだよ」「へえ〜。やっぱりそっか〜」 そう言ってニコニコ笑う英二に、何事かと僕は首を捻った。「やっぱりって、どういうコトさ」 「お前ってさ、いつも笑ってるだろ。でもね、 さんの話をする時とか顔つきが違うんだ。すっごく優しい顔になる」 以前から自覚はしていたけど、それに気付く人はほとんどいないだろうって思ってた。 「まぁね〜」 英二は得意げに胸を逸らせた。 ふと教室の時計を見ると、短針が4時を指していた。 「じゃあね、英二。急ぐから」 「おう。また明日な〜」遠くに英二の声を聞きながら、僕は走って の住むアパートに急いだ。
久しぶりに逢った僕たちは、それだけで嬉しくて、たわいのない話に花を咲かせていた。 そう言ってソファから立ち上がった。 そう言えば、今日は彼女の手作りのパンプキンパイをごちそうになりにきたんだっけ。 「そうだな。 がこの前言っていたのがいいな」 「ル・コルドンブルーの?」 「うん、クラシックブレンドってやつ」「分かった。すぐに用意するから、ちょっと待ってて」
数分後、彼女はティーポットと2つのティーカップ、そしてお手製のパンプキンパイをトレイにのせて、リビングへ戻ってきた。 「おいしくできたと思うんだけど・・・」 そう言って
は僕にパイを差し出した。
が不安そうに僕の顔を覗き込んだ。 彼女の顔に唇を近付けて、薔薇色の唇に軽くキスをした。 「フフッ。…パイも甘さ控えめでおいしいけど、一番甘くておいしいのは、 とのキスかな」 僕がクスッと笑って言うと、 は頬を紅潮させて、それでもにっこり笑ってくれた。「ねえ、もう一回してもイイ?」 「パイは食べてくれないの?」「全部頂くよ。もちろん紅茶もね。でも、その前にもう一回、ね」 彼女の耳元で囁くと、 はゆっくり瞳を閉じた。 僕はさっきより少しだけ長くて深いキスをした。
END
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