朝の風景

 

 

 教室の扉が開かれ、待ち望んでいた自分の親友の姿を目にとめると、 に駆け寄って抱きついた。

「おはよ〜、

 だが親友からの返事はなく、しかも抱きしめている身体がやけに堅い。
 不振に思い顔を上げると、 が抱きしめていたのは親友の恋人、不二周助だった。
 不二の姿に目をとめると、 は素早く不二の身体から手を放した。

「ちょっと不二君!邪魔しないでよ」

 そう言って は不二を見上げて睨んだ。
 だがそれが不二に効果があるはずもなく、彼の不敵な笑顔によって一蹴されてしまう。

「そうはいかないよ。 を抱きしめていいのは僕だけなんだから」

「ずるい!少しくらいいいじゃない」

 むうっと頬を膨らませ、ご機嫌斜めな が助け舟を出す。

。落ち着いて。
 話ならちゃんと聞くし、相談にも乗るから。ね?」

 そう言って が笑いかけると、 はパッと顔を明るくさせた。

「話って昨夜 のメールにきたコト?」

「へ?なんで不二君がそんなコト知ってるの?」

と一緒だったからに決まってるでしょ」

 シレッと言った不二の横で、 の顔が一瞬にして朱色に染まった。
 それは彼の言葉を肯定していることにほかならない。

「メールしたの真夜中だよ?そんな時間に不二家にいたの?」

「う、うん。…昨夜は周くんの家に泊まったから」

 顔を赤くしながらも、 はなんとか理由を口にした。

「だからなのね。 と不二君、同じ香りがする」

「当然でしょ。 から僕の匂いがするのは」

「しゅ、周くん!」

「ん?なぁに?」

「そういうコト人前で言わないで。恥ずかしいよ」

 今にも泣き出しそうな顔で が言うと、不二は彼女の細い身体をふわりと抱き寄せた。

「ごめんね」

「もう言わないでね?」

「うん。約束するよ」

「それなら許してあげる」

「ありがとうv」

 そう言って不二は の唇に軽くキスをした。

「人前でしないでって言ってるのに〜」

「そんなに可愛い顔されたら、我慢できないよ」

 にっこりと笑った不二に、 は更に顔を赤く染めた。
 そして、それをクラスメートに見られたくなくて、不二の胸にギュッと顔を埋めた。
 だが端から見ればそれはラブシーンにしか見えないのは当然で。
  は呆れて二人の傍を離れた。

「相談に乗ってくれるって言ったクセに!
 …でも悪いのは不二君よね。独占欲強すぎ。あれじゃ が壊れちゃうじゃない」

  の口からブツブツと不満が漏れたのは言うまでもない。


 

 

END

 

 

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2003.10.31
Congratuate 20000 over.
Thank You.

 

サイト20000HIT記念にフリー配布したものを再録。現在はフリーではありません。
たまには(?)いちゃついてるだけのバカップルもいいかと(笑)
片足を裏に突っ込んでいるような気もするけど・・・。
ここだけの話、本当は裏にするつもりでしたが、やめました。
やっぱりマズイでしょ。色々。

 

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