The reason of a smiling face

 

 

 四限目の授業が終わって昼休みとなった。
 いつものように、僕と 、英二、 の四人で教室で昼御飯を食べた。
 食べ終わると、 は手塚のクラスへ行き、僕と と英二が教室で話すのは日常だ。
 もっとも、英二は僕たちの邪魔をするような野暮なマネはしないけど。
 付き合いが長いだけあって、彼は僕の独占欲をよく分かっている。
 だから、三人でいることはほとんどない。


「ねえ、周くん。今度の日曜日は部活休みだったよね?」

「うん。それがどうかした?」

「あのね、その日って由美子さんいるかな?」

「姉さん?いると思うけど。姉さんに用があるの?」

「うん。ラズベリーパイの作り方を由美子さんに教えて欲しいの」

 その言葉に僕は目を瞠った。
 いまでも十分すぎるくらい料理も菓子作りも上手なのに。
 それに、 はパイ作りもできたはず。

「この前ね、家で作ってみたんだけど、由美子さんのようにできなくて…。
 だから教えて貰えたらなって思ったんだけど」

 上目遣いでねだるような仕種が可愛いい。
 けど、これが天然なのだから、始末におえない。
 僕以外の男に、そんな顔は見せないでよ?
 僕だけに見せてね、
 口には出さないけど、いつだって僕は を独占していたい。

「いいよ。今夜、姉さんに訊いておくよ」

 そう言うと、 は嬉しそうに微笑んだ。
 ホントに嬉しそうで、僕も嬉しくなって微笑み返した。




 

 

「英二。なにか用でもあるの?」

 さっきからずっと僕たちを見ている英二の視線が気になって、そう訊いた。

「ほえ?どして?」

「どして…って、ずっと僕たちのコトを見てるからさ」

 言うと、英二は何か考えるように腕を組んで、何かを納得したように一度頷いた。

「あのさ、不二に訊きたいことがあるんだけど」

「改まってどうしたのさ」

「今日もニコニコしてるな〜って思って」

 何を言い出すかと思えば一一一。

 僕の笑顔の理由なんて、ひとつしかない。


 いつも隣に がいるから、僕は笑っていられる。
 僕は彼女だけを見つめていて、彼女も僕だけを見つめてくれている。
 それがとても幸せだから、笑っているんだ。


「それは がいるからだよ」


 そう答えると、英二の大きい目が更に大きくなった。
 そこまで驚く必要があるのかってくらいに。
 そして、向かいにいる に目を遣ると、彼女は林檎のように頬を赤く染めて、幸せそうに笑っている。
 いますぐ抱きしめて、キスをしたいくらいに可愛く笑う
 すると、そんな を英二が見ていた。

「英二。 は僕のだよ」

「分かってるにゃ」

「それならいいけどね」

 笑って言うと、英二は引きつった笑いを浮かべた。
 クスッ。 が絡んだ僕は容赦がないってこと、ちゃんと分かってるようだね。
 たとえ英二にその気がなくても、こうしておけば僕以外の男を牽制できるから。

 

  は誰にも渡さない。
 

 

 僕の隣は のために

 僕の笑顔は 一一一



 君のためにあるんだ


「ねえ、 。今日は一緒に帰ろうね」

 

 

 

 

END

周助くんがちょっと黒くなりすぎた^^;
甘いんだか甘くないんだか分からない・・・。
Kさん、こんな周助くん視点でも許されますか?(苦笑)

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