六花
は肌に寒さを感じて目が覚めた。
室内は薄暗く、早朝であることが分かる。
隣に眠る人を起こさないよう注意を払いながら、
はダブルベッドからそっと抜け出した。
そして、ベッドの向かいにある窓へ近付き、淡いブルーのカーテンを少しだけ開けた。
光が差し込んだら、周助を起こしてしまうからだ。
僅かな隙間から外を見ると、空から舞い降りる白いものが見えた。
「もしかして、雪?」
は呟いて、少しだけ窓を開けて、細くて白い右手を窓の外へ伸ばした。
すると、舞い降りる雪がいくつか彼女の掌に落ち、体温で瞬く間に溶けた。
「
、風邪引くよ」
その声に驚く間もなく、華奢な身体は後ろからすっぽり包まれた。
「起こした?」
そう訊くと、周助はクスッと笑って。
「君が腕の中にいなかったからね」
言いながら、周助は
を抱き締める腕の力を僅かに強くした。
そして、開いている窓を閉めてから、窓の外に視線を向けて。
「今日は雪が降ってるんだね」
雪といっても風花程度だが、このまま降っているのなら強くなるかもしれない。
桜色の唇から白い吐息が溢れる。
は 雪景色は好きだが、寒いのは苦手なのである。ゆえに、彼女の心境は複雑だ。
積もって欲しいけど、積もって欲しくない。
そう口にしたら周助が笑いそうだから、口には出さないけれど。
「少し寒いわね」
「そう?僕は暖かいけど?」
「周助…暖かいのは私の方よ?」
まだ起きたばかりで暖房も入っていない室内では、どう考えても、周助に抱き締められている自分の方が夫よりも暖かいに決まっている。
「フフッ」
「なにがおかしいの?」
「ん? だって
がおかしなコトを言うからさ」
その言葉の意味が分からずに、自由に動かせる顔を周助に向けた。
すると、黒曜石のように黒い瞳に、穏やかに微笑む愛しい人の姿が映った。
「
が僕の腕の中にいるだけで、すごく暖かいんだよ。
それにね、僕は暖めてもらうより、こうして
を暖めてあげらるのが好きなんだ」
そう言い終わったと同時に、華奢な身体が軽々と持ち上げられて。
「まだ朝は早いし、これから僕が暖めてあげるよ」
「えっ?周助?」
驚いて黒い瞳を瞠る
に、周助はクスッと笑った。
そして、
の耳元へ唇を寄せて。
「寒いんでしょ? だから、暖めてあげる。たくさん…ね」
少し低めの掠れた声で言われて、
は一瞬で白い頬を朱色に染め上げた。
それは周助の声色で昨夜の出来事を思い出してしまったのと、彼の言葉に隠された真意を読み取ってしまったからだ。
そんな彼女の心境が分かっているのだろう。周助は切れ長の瞳をふっと細めて、愛し気に微笑んだ。
はそれが恥ずかしくて、周助の腕から逃れようと身体を捩る。だが、全く効果はない。
「昨夜だって‥‥んんッ」
の言葉を周助はキスで塞いだ。
そして、にっこりと笑いながら。
「そんなに照れなくてもいいのに。ホントに
は 可愛いんだから。
それに、 二人でくっついていた方が暖かいでしょ」
「暖房入れればいいじゃない!」
真っ赤に染まった頬で反論してみても、周助に通用するはずもない。
逆に周助の理性を煽る材料としかならない。
「僕は暖房より人肌の方がいいな。勿論、
の素肌限定でね」
甘い声で囁きながら、周助は細い身体を仄かに温かさが残る白い波に沈めた。
そして周助は、白い肌にゆっくりと熱を与えていった。
外が一面の銀世界に変わりつつある頃。
疲れ果てた
は、周助の腕の中で寝息を立てていた。
周助は愛しい妻の艶やかな黒髪を指先で弄りながら、幸せそうな笑顔で、可愛い寝顔を見つめて。
「愛してる。僕だけの
」
彼女の耳元で囁いて、柔らかな唇を軽いキスで塞いだ。
END
周助くんとくっつきたかったので(笑)
包まれるの大好きなんですもの。もちろん周助くん限定ですv
新婚=微エロorウラが定番になってるなあ。
めちゃくちゃ短いし、後日修正して裏部屋にアップしよう、うん。
いいですよね?(訊くなよ)
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