窓から差し込む眩しい光。
 今日はいい天気だよ、
 僕の隣でまだ穏やかに眠っている、君。
 今日は僕と君の、結婚記念日だね・・・。

 

 

 

 I say to my love  



「卒業おめでとう、周助」

 笑顔で僕を迎えてくれたのは、僕が一番大切だと思う女性(ヒト)。

「ありがとう、

 僕は最愛の彼女にニッコリと微笑んだ。

 僕が大学の4年間の学びを終えた日。
  はわざわざ休暇を取って、僕を迎えにきてくれた。

「おうちの人は、いいの?周助」

「大丈夫。ちゃんと遅くなるって言ってあるから」

 笑顔の僕に、 は苦笑してる。

「私は嬉しいけど・・・ご両親だって、周助の卒業のお祝いするの、楽しみにしてらっしゃるんじゃないの?」

「それはもう昨日のうちにしてもらってるから。 はわざわざ仕事を休んでくれたんだし、
 今日はやっぱり といたいね」

 そう言うと、 はほんの僅かに頬を染めた。
  の反応が可愛くて、ついつい笑みがこぼれて。

 僕にはどうしてもその日の内に君に言いたいことがあった。


 僕より5つ年上の と知り合って6年。
 その間には、色々なことがあったよね。
 高校生の間は、かなり背伸びをしていたなと今では思う。
 しっかり者のOLの君の隣に並んでも見劣りがしない男になりたいと、ずっとそう願ってきた。
 僕は、僕なりに努力してきたつもりだし、 を好きなこの気持ちだけは誰にも負けない自信がある。
 だから。
 僕なりの、決意を君に。

「ねえ、 。4年前、僕が言った約束、覚えてくれてるかな」

「約束?・・・もしかして『予約』って言ってた、あれのこと・・・?」

「そう。・・・   さん、僕と結婚してくれませんか。君の生涯を、僕に預けて下さい」

「周、助・・・・・」

 どこか茫然とした に、僕はやさしく微笑みかけた。

に傍にいて欲しいんだ。これからも、ずっと。僕が愛しているのは君だけだから」

「周助・・・本当に・・・?」

「勿論。だから言ったでしょ『ずっと君の隣にいる予約させて』って。やっと、実行できるから。
  、これ、受け取って?」

 僕はスーツのポケットから青い布張りの箱を取り出して、蓋を開ける。中にあるのは、 の誕生石でもあるダイヤの指輪。

「・・・本当に、いいの・・・?」

だけだよ、僕にはね。これからも2人で、同じ時間(トキ)を重ねて、喜びも痛みも分け合って生きていこう」

「・・・周助・・・」

  は潤んだ瞳をそのままに、鮮やかに微笑んだ。

「ありがとう、周助・・・私にも、周助だけよ・・・」

「うん、判ってるよ、

 僕は笑顔のまま、指輪を取り出した。そして、 が差し出してくれた左手の薬指にそれをはめる。
 そしてそのまま、 を抱きしめ、唇を重ねた。


 その後、とんとん拍子で話は進み、6月には挙式。
 純白のウェディングドレスに身を包んだ は、世界中の誰よりも綺麗な花嫁になって、僕の隣で微笑んでくれた。

 



 その日から、今日で丁度2年。
 僕の幸せは続いている。
  の長い髪にそっと指を絡ませた。サラサラで艶のある、綺麗な黒髪は色白の彼女の美しさをより引き立てている。
 髪の香りは僕と同じ。ごく自然に同じ香りを纏い、同じ空気の中で生活している。
 2人でいることが当たり前のように。


 でも、それは当たり前のようでそうじゃない。実は、物凄く幸運で幸福(しあわせ)なことなんだ。

「・・・ん・・・」

  が小さく身じろぎした。
 そろそろ、お目覚めかな?  
 僕は彼女の額にそっと口づける。

「んぅ・・・周、助・・・?」

「・・・おはよう、

 軽く目をこすっているけれどまだ完全に覚醒しきっていない君の唇に軽いキス。
  が目を瞠ってる。

「・・・ふふ、起きた?」

「う、うん・・・もう・・・周助ったら・・・」

「あまりにも が可愛いものだから、つい、ね」

  はやっぱり目を瞠って、それから僕の大好きな笑みで僕にぎゅっと抱きついてくれた。

「・・・・・大好きよ、周助」

「うん。僕もだよ、

 そして僕らはもう一度唇を重ねる。
 互いの想いも一緒に。



 2人で一緒に朝食の支度をして、それを食べながら、 はどこか遠くを見つめているような瞳になっている。

「・・・ 、どうかした?」

「・・・え?何か言った?周助」

「・・・元気ないみたいだね。今日は結婚記念日だから、お互いに休暇を取ってゆっくりしようって約束だったけど・・・もしかしたら仕事、忙しいのかな」

「あ・・・ううん、仕事は全然。問題ないよ、今のところ」

「なら・・・何か、心配ごとでも?」

「心配ごとって言うか・・・」

 言葉を濁した は、やっぱり僕から目を逸らしている。
 そんなこと、滅多にしないのに。一体、君は何を隠してるの?

、言って?・・・それとも、僕には話せないようなこと?」

 僕の声が少し沈みがちになったのを、君は敏感に察してはっとして僕を正面から見つめてくる。

「・・・周助に話せないっていう訳じゃ、ないんだけど・・・・・あのね、今日の外出の予定、変更してもいい?」

 天気が良かったらドライブがてら、海に写真を撮りに行こうって約束だった。

「いいけど・・・ほかに行きたいところがあるの? は」

「・・・う、ん・・・判らないんだけど・・・一応、病院、行っといたほうがいいかなって・・・」

「・・・病院!?」

 耳慣れない単語に、僕は驚愕した。

!?」

「あっ、違うの、周助!!えっと、その・・・体調は確かにあまり良くないんだけど、病気かどうかは判らないから・・・」

 微妙に目を泳がせいてる の頬がほんのりと朱に染まってる。
 病気かどうか判らないから病院に行くって・・・・・。
 そう考えて、はっとした。
 もしかして、それは・・・・・・・

「・・・ ?もしかして、君は・・・」

「・・・だから、まだ判らないの。ただの不順かもしれないし。でも、一応、診てもらった方がいいかなって、思って・・・」

 恥ずかしそうに俯く を真顔で見つめ、僕は頷いた。

「・・・判った。行こう」

「一緒に行ってくれるの?周助」

「当たり前でしょ」

 即答した僕に、 は安心したような笑みを見せた。

 


 病院での診断結果は、 の予想通りで。
 僕は君と共に更なる幸せの訪れを味わった。

「・・・男の子かな?女の子かな?」

「・・・周助はどっちがいい?」

「そうだね・・・どっちでもいいよ。僕と の子供なら、きっとどっちでも可愛いと思うから」

「周助・・・」

 はにかんで微笑む君は、女神のようだよ。

「・・・身体に気をつけて、 。君も赤ちゃんも元気でないとね」

「・・・ん。頑張るね」

「それにしても、結婚記念日には何よりのプレゼントだね。僕と が一緒に幸せになることを誓った日に、更なる幸せの存在が判るなんて」

「・・・ふふ。こうやって幸せって増えていくんだね、周助」

「うん」

 病院を出た青空の下で、僕は をそっと抱きしめ、キスをした。




 ひとつひとつ、幸せを重ねて。

 永遠へと続けていこう。

 これからも、ずっと。

 僕と 、そしていずれ増えていく筈の天使と一緒に。

 新しい思い出を作っていこうね。

 幸福(しあわせ)と愛の詰まった、かけがえのない思い出を。




END




森 綾瀬さまへ

サイト2周年おめでとうございますvv 綾瀬ちゃんには本当に色々お世話になってますね。
綾瀬ちゃんのサイトを見つけ出せて、微妙にブラックな周助くん に魅了されて、本当に良かったvv
そうでなかったら、私は周助さん好きであることを、こんなには楽しめなかったかもしれないから。
これからも、綾瀬ちゃんのペースで、 魅力的な周助さんを書いていって下さいねvv
拙い作品ですが、お祝いとして、受け取ってくださると嬉しいです。

2004.6    森島 まりん 拝

 

【森の遊歩道】森島まりん様より我が家の二周年記念に、と頂きました。

このお話は相互記念に頂いた『PROMISE』の続きなんです。
しかも、我が家の二周年と二年目の結婚記念日をかけてくださったのです(感涙)
突然の贈り物。すごく嬉しいです。
まりんちゃん。素敵なドリームをありがとうございます。
これからも宜しくお願い致しますねvvv

 

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