愛しい君へ


 

 誰よりも愛しい、 の誕生日。
 僕の誕生日にはいつも、心のこもったお祝いをしてくれる。
 そんな君が僕の妻になって最初の、君の誕生日。
 今日は、僕が にあげる番だね。




 仕事は半休を取った。
 勿論、そんなことは には内緒。
  のお気に入りのワインと、上品な白いバラとかすみ草の清楚な感じの花束と、姉さんに頼んで特別に作ってもらったレアチーズケーキを持って、午後の少し暑いくらいの日差しの中で帰宅した。
 僕が鍵を開けて入るのが先、なんてことはあまりないから、なんだかイケナイことをしているような気になって、思わずクスッと笑ってしまう。
 とりあえず、買ってきたものたちを所定の場所に置いて、僕は着替えて近くのスーパーに食材を調達に出かける。
 料理上手な のように手の込んだものは作れないけど、ワインに合うようなつまみ程度のものなら、僕にも充分に出来るから。
 上品なレストランでの食事、というのも考えなかった訳じゃないけど、 の今年の誕生日は平日で、翌日もお互い仕事なのが判っていたし、何より、外食じゃ、ゆっくりワインと を堪能出来ないからね。
 家で、2人だけでのほうがいいかなって思った。
 ケーキも、誕生日には欠かせないとは思うものの、 は甘いものが苦手だから、自分で作ったものか、姉さんが作った思いっきり甘さ控えめのものしか食べられないし。
  を驚かせて、そして喜ばせたい、そう思いながら、僕は目当ての食材を買い込み、家に戻って支度を始めた。
 彼女が料理をしている姿は時々眺めてるから、何処に何が置いてあるのかもだいたい判るし、特に困ることもない。
 冷めても大丈夫なものや、元々冷たいものなんかを先に作り、温かいほうが美味しいものは下ごしらえだけを整えていく。
 そうこうしているうちに、メールが入る。
  からの定期便だ。
 彼女は退社時刻になると僕の退社予定を聞いてきてくれる。その日に食べたいものとかを聞いてくれることもある。
「今日は・・・ふふ、 、驚くかな」
 僕は『もう帰り道だから、買い物も僕がして帰るよ。気をつけて帰っておいで。愛してるよ』というメッセージを送った。
 数分後、再びメールが届く。買い物リストだ。
 トマト水煮缶に海老とオクラとセロリ・・・成程ね。
 ちょっと僕のつもりとは異なるけど、系統は同じものだから問題ないかな。
  の職場から家までは車で20分程。
 僕は料理の続きに取りかかった。
 オーブントースターとフライパンを使って、料理を完成させていく。
 花は食卓に、プレゼントと一緒に置いた。ワイングラスとお皿と、カトラリーを並べたところで、玄関の扉が開く音が聞こえて、愛しい声が響いてきた。
「ただいま、周助ー」
「お帰り、 。今日もお疲れ様」
 僕は手を止めて、 を迎えに出た。
「周助・・・何か、いい匂い・・・まさか、夕食・・・?」
 軽く目を瞠っている の可愛い唇に軽くキス。
、誕生日おめでとう」
「周助・・・」
 ふふ、予想通り驚いてくれたみたいだね。
「私の誕生日だから、夕食の用意をしてくれたの?」
「うん。いつも にはもらってばかりだからね。今日くらいは僕から君にプレゼントしないと」
 そう言うと、 は僕の大好きな笑顔になった。
「・・・ありがとう、周助」
「ふふっ・・・ 、愛してるよ」
 再びキスをすると、僕は より先にキッチンに入って、花束を抱え、差し出した。
「はい、 。僕からのプレゼント」
「綺麗なバラ・・・いい香り・・・」
 花束を受け取ってその香りを楽しむ は幸せそうで。
 僕の心も幸福な気持ちにしてくれる。
「それ、とりあえず置いて着替えてくれば? スーツのままじゃ辛いんじゃない?」
「あ、うん。そうするね」
  が着替えに寝室へ行った後、僕は作った料理を食卓に並べた。
 おつまみ程度の小さな料理を幾つかと、ケイジャンチキンと、レアチーズケーキ。
 ケーキには僅かしか砂糖は入ってない。だから好みでベリーソースをたっぷりかけて食べれば、甘いものが好きな人間でも食べられる。
 僕は少量のソースをかけて食べることになるかな。
「・・・うわ・・・何か、凄くない?」
 柔らかい感じのワンピースに着替えた が食卓の上を見て驚いた声を出した。
「そう? このチキン以外はたいして手間はかかってないけど」
「そうなの? とてもそうとは思えないわよ、この品数は・・・私がメールした時には、もしかしてもう家にいたの?」
「ふふっ・・・まあ、いいじゃない、そんなことは。それより、乾杯しよう、
 僕はワインのコルクを開けて、 のグラスに注いだ。そして、自分のには が入れてくれた。
 微笑んで、僕はグラスを持ち上げる。
「改めて、 、誕生日おめでとう」
「・・・ありがとう、周助」
 カシャン、とグラスが軽い音を立てる。
  がやさしく微笑んでくれていて、僕は君といられる幸せをかみしめた。




 料理は好評で、 は普段よりもたくさん食べてくれた。
 ケーキも姉さん特製だということで、安心して食べられたみたいだし。
 プレゼントしたダイヤのプチネックレスも、よく似合ってる。
 ほろ酔い気分で僕に寄りかかってくる が可愛くて、そっと耳元で囁いた。
「ねえ、 、疲れてない? 今夜は髪、僕が洗ってあげるよ」
「えぇ? 周、助?」
の綺麗な髪、長いから洗うのも大変だっていつも言ってるから。一緒にお風呂に入ろう」
 そう言うと、 はぽっと頬を染めた。
「・・・い、いいよ。自分で出来るから」
「どうして? 滅多にないことだからいいじゃない」
「周助と一緒にお風呂に入ったりしたら・・・・・」
  が言葉を濁す。
 僕はクスッと笑った。
「恥ずかしがりだなぁ、 は。大丈夫、髪だけじゃなく、全身綺麗に洗ってあげるからね」
「やっ、だ、だからいいって。遠慮します」
  は慌てたように僕から離れようとしたけど、離す筈ないでしょ。
「足とか、肩とかマッサージもさせてもらうから。いつも仕事と家事と両方頑張ってくれてる大切な奥さんを愛しむのは夫として当然のことだと思うけど」
「しゅ、周助、気持ちは凄ーく嬉しいんだけど・・・あのね、明日も仕事なのよ、私」
「僕も仕事だよ?」
 ニッコリ笑ったままで の頬にキスする。
「・・・そ、それは判ってるけど。でも、根本的に私と周助じゃ体力が違うもの・・・」
「大丈夫だって。朝まで寝かせない、なんてことはしないから」
「いや、だから・・・!」
 ふふふ、これ以上の抗議は却下させてもらうよ、
 僕は をひょい、と抱き上げて浴室に連行する。



 君の髪を洗って、足や肩のマッサージをして、そして、僕しか知らない可愛くて愛しい君を堪能させてもらうから。
 花束とネックレスと料理だけじゃないから、僕からのプレゼントは。
  の全てを愛すること。
 これからも、君だけを愛して護っていくこと。
 君の生まれた大切な日に、改めて誓うよ。

 生涯かけて、 だけを愛しぬく、と・・・。




END




 
綾瀬ちゃん、Happy Birthdayvv
こんなヘボヘボですが、プレゼントです。

by 森島 まりん    2005.4.19

誕生日祝いに 森島まりんさん からとても素敵なドリームを頂きましたv
ワイン好き、甘さが控えめすぎるくらいのレアチーズ、長い髪‥‥‥etc
まんま私が反映されていて驚きました(笑)
周助くんに大切に愛されて、とっても幸せです〜〜v
まりんちゃん、本当にありがとうvvv

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