テニスをしている姿。
授業を受けている時の横顔。
クラスメートであって、部活仲間でもある菊丸くんと話している所。
視線が合った時に微笑んでくれる所。
優しい笑顔。
真剣な表情。
どんな彼もカッコイイと思う。
親友に話したら、彼女は呆れた顔をしていた。
そんなに可笑しいコトを言ったつもりはないのに。
好き×好き
一足先に部活が終わった私は、正門で周くんを待っていた。
男子テニス部はさっきクールダウンしていたから、あともう少しかな。
部活が終わってテニスコートに行くと、ランニングの最中だった。
グラウンドを走っていた彼は私に気付いてくれたから、ここにいれば大丈夫。
周くんより早く部活が終わった時は、テニスコートに顔を出すのが私の日常だから。
そして、彼の方が早く終わった時は彼が待っていてくれる。
決めたわけじゃないけど、自然にそうなった。
きっと周くんは走ってきてくれるんだろうな。
彼は優しいから、私を待たせないようにって思ってくれてるんだと思う。
そう思うと、くすぐったいけど嬉しくて、フワフワした気持ちになる。
瞳を閉じると瞼に浮かぶのは、穏やかに笑う周くん。
「おまたせ、
」
「ううん。そんなに待ってないから」
「そう?」
言って、周くんは優しく笑う。
それだけで私は嬉しくなる。
「そうよ。お疲れさま、周くん」
「うん。 帰ろうか」
そう言いながら差し出される手に手を預けると、彼は私の手をそっと握って嬉しそうに笑う。
そんな周くんも私は大好き。
でも、優しく甘く私を包んでくれる彼の姿が彼の全てじゃないことを、私は知っている。
彼の秘める熱い内面も、独占欲の強さも、スリルを求める所。そして、時々甘えてくるコトもある。
彼の持つ強さも弱さも、全部が好き。
世の中は広いから似たような性格の人は他にもいるかもしれない。
でも私は周くんじゃなきゃダメ。
不二周助だから好き。
「どうしたの?
」
「えっ?」
名前を呼ばれて瞳を開けると、目の前には大好きな周くんがいた。
いつのまに?
そんな私の気持ちは顔に出ていたのか、彼は私の顔を覗き込んで小さく笑った。
「もしかして、僕のコト考えてた?」
「・・・どうして分かったの?」
そう訊くと、クスッと笑って。
「分かったんじゃないけど、そうだったらいいなって思ってさ」
切れ長の瞳に見つめられると、何も言えなくなる。
溺れてしまいそう・・・。
瞬間。
唇に温かいものが触れた。
軽く触れるだけの優しいキス。
「そんなに見つめられたら我慢できなくなる」
大きな手で私の頬を包み込んで、周くんは私の額に自分の額をくっつけた。
そして、色素の薄い瞳をそっと細めて。
「ねえ…何を考えてたの?」
優しい声色なのに、それには逆らうことを許さないような何かを秘めている。
「・・・・周くんのコトだよ?」
「クスッ。それは分かってるよ。
、わざとはぐらかそうとしてるでしょ?」
「・・周くんのイジワル」
「どうして?」
「どうしても・・・」
「それなら仕方ないよね」
彼はそう言って、私を開放した。
それに私はほっとした。
でも一一一。
「じゃあ、僕の質問に答えて?そうしたら君を離してあげる」
そう言ったかと思うと、私は彼に引き寄せられた。
強い力じゃないから、逃げようとすれば逃げられる。
それなのに、見つめられると動けなくて。
「僕のコト、どう思ってる?」
「えっ?どうって・・」
「僕のコト、好き?それとも嫌い?」
嫌いなわけないじゃない。
好きすぎてどうしていいか分からないのに。
「……きよ」
「ダメ。聴こえなかった」
そう言って彼は笑みを深くした。
きっと聴こえてた…と思う。
こういうところ、周くんはイジワルだ。
でも言わないと多分離してもらえない。
きっと前みたく『言ってくれるまでキスするよ』とか言うんだわ。
ズルイって思うのに、言ってしまう。
だって、そんな所も好きで仕方ないんだもの。
でも私の部屋とか周くんの部屋とか、周りに誰もいなくて二人きりならいいけど、ここは正門だし…。
戸惑っていると彼の腕の力が強くなった。
「ねえ、
。僕のコト…好きって言って」
そんなに甘い声で…熱のこもった声で言われたら一一一
「・・・大好き」
そう言うと、彼は嬉しそうに笑って。
「僕も
が大好きだよ」
笑顔と一緒に熱いキスが唇に落とされた。
END
『不二の病同盟』発足記念に副会長さまと書記さまへ(笑)
策士で甘く優しい周助くんに溺れている会長に付き合ってくれてありがとうvv
ヒロイン設定は同級生・演劇部ヒロインです。
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