Sweet Time
高等部の卒業式が終わって数日が過ぎたある日、青春台駅前を真剣な面持ちで歩く不二の姿があった。
の好みの色、似合う色、何より彼女に似合うもの・・・ かくして不二は、最終的に直感でお返しを決めたのだった。
ホワイトデーの前日である13日、不二は
に電話をかけた。 数回のコールが鳴った後、不二の耳に愛しい彼女の声が届いた。 『もしもし、周くん?』 「こんばんは、 。 ねえ、明日空いてるかな?」『うん。何も予定はないけど?』 「よかった。それなら、明日デートしよう」『うん』 「じゃあ、朝の10時に迎えに行くから待ってて?」『うん』 「フフッ。明日楽しみにしてるよ」『私も楽しみにしてる』 「うん。 じゃあね、オヤスミ」『おやすみなさい』
翌朝。 「ご注文はお決まりですか?」 店員はテーブルの上に水の入ったグラスを二つ置いて、そう訊いた。「 は何がいい?」 「ん…と…いつもの」「クスッ。OK」 そして不二は視線を から店員に移して。「ダージリンを二つ、お願いします」 「かしこまりました」
10分程すると、二人分の熱い紅茶が入ったティーポットと、温められたティーカップが二つ席に運ばれてきた。 二人で紅茶を飲みながら話をして、しばらくした頃。 「なぁに?」 「これ、受け取ってくれる?」不二はそう言って、赤いリボンのついた小箱を に差し出した。 「バレンタインのお返し。気に入ってくれるといいんだけど」「ありがとう、周くん」 は礼を言って、小箱を受け取った。そして。 「・・・開けてみてもいい?」 そう彼に訊ねると、不二は柔らかく笑って。「もちろんだよ」 その言葉に、 はドキドキしながら真っ赤なリボンを解いて、小箱のフタを開けた。そして箱の中に入っていたのは一一一一
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